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睡眠

朝型と夜型はどっちがいいの?平日の日本人は時差ボケ状態にある!?

「学習」というテーマで、パフォーマンスを向上させるためには睡眠が重要であると学びました。しかし、緊張する試験を控えていたり、楽しみなイベントがあると、なかなか眠れないという方もいるのではないでしょうか。 実は、睡眠に効果的な食べ物や飲み物があったり、ニューロフィードバックの介入を通して、睡眠の質を高めるなど、現在さまざまな技術が生み出されています。そこで、今回は「睡眠」について深掘りしていこうと思います。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm21/ 電車で居眠りをする日本人を見た海外の人の驚きの反応は? 日本ではバスや電車の中で、居眠りをしている人をたくさん見かけますよね。しかし、ヨーロッパでは、そのような公共の場で眠っていると「体調が悪い」と見られてしまうそうです。実際、海外の友人に「移動の電車で多くの人が眠っているけれど、日本人はみんなナルコレプシーなのか?」と聞かれたことがあります。 ナルコレプシーとは、十分な睡眠をとっていても、日中に眠気が襲ってきて、自分でも制御できずに眠ってしまう症状のことです。きっと日本では、電車で眠っていても、物を盗られたり、襲われたりする危険が少ないから、安心して眠れてしまう、という文化の違いだと思います。 しかし、日本には睡眠不足の人が多いのではないかという考え方もあります。睡眠が不足していると、日中帯のパフォーマンスが低下してしまいます。アルコールを飲んでいる時と同じくらい、脳の機能が下がるとまでも言われているのです。 ある研究者が、睡眠不足がどれほどのコストになっているのかを計算したところ、日本ではGDPの2.9%ほどが、睡眠不足によって失われているのではないかという結果になりました。これは他の国と比べても、かなり大きな数値で、日本人は睡眠不足の人が多いということがわかります。これを改善することで、日本は経済的にも、便益を享受することができると言われています。 朝型と夜型の人の違いとは? 睡眠不足を表す指標の一つに、睡眠負債と言うものがあります。いつ眠くなっていつ起きるのかというのは個人差がありますよね。それをクロノタイプと言うのですが、そのため一概に夜遅くまで起きていることや朝遅くまで寝ていることが良くない、とは言い切ることができません。 朝、学校が始まる時間が早すぎると思ったことがある人もいるのではないでしょうか。日本の学校の始業時間は、クロノタイプが朝型の人に合わせて、作られているのだと思います。イギリスでは、人によってクロノタイプが違うのだから、10時始業のように時間を遅らせたら良いのでは?と考えられ、実際に成績も上がったという成果があります。 大昔の狩猟時代に、朝に活動して夜に眠る人たちを、動物に襲われないように守ってくれていた人がいると思います。そのような人たちが今の夜型になっているのかもしれませんね!代わりに朝型の人たちは朝に活動して、今の夜型の人たちを守っていたのかもしれません。 飛行機に乗らなくても時差ボケしてしまう人とは? このように睡眠には個人差があるため、みんながみんな同じような睡眠リズムを持っているわけではありません。平日は6時に起きるけれど、休日は10時まで寝てしまう、というように、平日と休日で、起きる時間が変わる人もいるのではないでしょうか? このような本来寝ていたい時間との差を、ソーシャルジェットラグと言います。ジェットラグというのは、飛行機に乗って時差ぼけをしてしまうことを指します。そして、ソーシャルのせいで、平日はずっと起きていて、休日だけたくさん寝てしまうことにより、睡眠のリズムが平日と休日で変わってしまい、ラグが生まれるのが、ソーシャルジェットラグです。 日本の睡眠研究で、平日働いた後に、好きなだけ休日に寝てくださいと言うと、平日よりも睡眠時間が数時間ほど長くなる人も多くいるそうです。普通に寝ると、人は8.4時間ほど眠るそうですが、平日は7時間ほどしか寝ない人が多いため、そこの差で睡眠不足が生じてしまいます。 まとめ 私たち日本人は、他の国の人と比べても、睡眠不足の人が多いです。このような睡眠負債を抱えていると、日中のパフォーマンスが下がってしまったり、経済的な負担にも繋がってしまいます。睡眠不足は平日と休日の睡眠時間の差にも現れていて、睡眠不足の解消は、社会的な課題であると言うことができます。 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/4FsfTfp2A0oNGH4jEdlaUl?si=vj_70I7YQGmfyTO74vHXFQ 次回 次回もコラムでは、『睡眠の質を高める意外なヒント』をいくつかご紹介します。 https://mag.viestyle.co.jp/columm23/

メンタル不調を克服するためには?認知の歪みを治せる?

社会人として働くうえで、もしメンタル不調に陥ってしまったら、その後はもう働くことができなくなってしまうのでしょうか? 一度メンタルが弱ってしまうと「一生そのままだ」「働けなくなってしまう」と、思われがちですが、実はそれもスティグマの1つです。 実際は、本人の症状が軽くなれば働くことができ、たとえメンタルの問題を遺伝的に、環境的に抱えてしまっても、社会復帰は可能であるという話を紹介していきたいと思います。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm20/ 今のままではメンタル不調の人が職場復帰は難しい? これまでも何度か紹介してきましたが、メンタルに問題を抱えやすい人は、とても優秀な人が多いのです。だからこそ不調になりやすいという面もあるかもしれません。 このような優秀な人材が「病んでしまったら一生終わり」という社会は、働く本人にとっても、優秀な人材を失う会社にとっても、大変もったいない状況です。そこで、医学やテクノロジーが大いに役立つことが期待されます。 現代の医学やテクノロジーは、メンタルヘルスの課題に対する理解と支援を飛躍的に進めています。例えば、早期診断や適切な治療法の提供により、メンタルヘルスの問題を抱える人々が適切なサポートを受けることが可能です。また、テクノロジーを利用したメンタルヘルスのモニタリングやリモートカウンセリングなど、手軽に利用できるサポート手段も増えています。 さらに、職場環境の改善やメンタルヘルスへの理解を深める教育プログラムの導入も重要です。これにより、メンタルヘルスの問題を抱える人々が安心して働ける環境が整い、彼らの能力を最大限に発揮できるようになります。 優秀な人材がメンタルヘルスの問題を克服し、活躍し続けるためには、個々の努力だけでなく、社会全体でのサポート体制の整備が不可欠です。医学やテクノロジーの力を借りて、より多くの人が心身ともに健康で充実した生活を送れるようになることが望まれています。 ネガティブ思考を断ち切る新技術とは? この分野に関して、ニューロテクノロジーが1つの解決手段として注目されており、中でも、ニューロフィードバックを用いた科学的な認知行動療法が提案されてきています。実際に、鬱に対して効果があるというエビデンスもいくつか出てきています。 鬱が深刻な人の特徴として、「反芻思考」というものがあります。これは「私は無能な人間だ」といったネガティブな思考が、本人の意思に反して無限にループしてしまうことです。このような思考は脳の中で自動的に行われるため、本人が止めたくても止められないのです。 皆さんの中にも、落ち込んだ時にネガティブな考えが頭から離れなくなってしまう経験をしたことがある人もいるでしょう。このような反芻思考を止める訓練を、ニューロフィードバックを使って行うことができるようになってきています。 ニューロフィードバックについては、こちらの記事でも紹介しています。 https://mag.viestyle.co.jp/neuro_feedback/ 認知の歪みを矯正してメンタル不調を克服! 他にも、ニューロフィードバックを使って、認知の歪みを治せるのではないかという研究をしたチームがあります。 認知の歪みとは、例えば10人中全員があなたのことを「可愛い」と言ってくれているのに、自分だけは自分のことを可愛いと思えないような現象です。目に映る対象は全員同じはずなのにこのようなことが起きるのは、脳の認知能力に歪みがあるからだと考えられています。 この研究では、被験者に「建物の写真」と「怖い顔をした人の写真」を50%ずつ重ねて見せます。健康な人は建物を見ようと思えばそれが目に入り、人の顔を見ようと思えばそれも見えるように、建物と人の顔の両方を認識できます。しかし、ネガティブモードに入ってしまっている人は、ネガティブな情報しか捉えることができません。 これを矯正するために、被験者が建物を見ているときと人の顔を見ているときの脳活動を学習させると、脳の情報を読み取ることで、被験者が建物と人の顔のどちらに注意を向けているのかを解読できます。被験者が50%ずつの写真を見ているときに、「建物を見ている時の脳活動を起こしてみましょう」と指示されると、ネガティブな情報が頭に入ってきても、それを矯正することで、次第にニュートラルにその写真を見られるようになります。 そのため、50%ずつの写真を見ている時に、「建物を見ている時の脳活動を起こしてみましょう」と言われると、ネガティブな情報が頭には入ってきてしまうのですが、頑張ってそれを矯正して、だんだんニュートラルにその写真を見れるようになってくるのです。 このような技術は、世界の見方や心の特性をニュートラルに矯正する新しい手段として注目されています。例えば、醜形恐怖症や神経性痩症などの患者が自分自身に対する見方をニューロフィードバックで中立的に矯正できれば、本人の負担が軽減されるかもしれません。 また、復職を希望する人々が復職に対して持っている歪んだ考えをトレーニングで矯正することができれば、彼らが再び活躍できる可能性も高まります。こうしたプロジェクトを立ち上げることで、メンタルヘルスの課題を抱える人々に対するサポートがさらに充実することが期待されます。 まとめ メンタル不調を抱えた人が社会復帰できる可能性は十分にあります。メンタルヘルスの問題で「一生働けなくなる」と思ってしまうのは、スティグマの一つです。 優秀な人材がメンタル不調で働けなくなることは、本人にとっても、企業にとっても大きな損失です。しかし、現代の医学やテクノロジー、特にニューロフィードバックを活用した科学的な認知行動療法により、症状の改善や認知の歪みの矯正が可能になっています。 メンタル不調を抱える人々が安心して働ける環境を整え、彼らの能力を最大限に発揮できるようにするためには、社会全体でのサポートが不可欠です。これにより、メンタルヘルスの問題を克服し、再び活躍するための道が開けるでしょう。 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/58Pu4n97RIH0RSET5HqzWQ?si=Zo83bhg6RNiRlrWws5-J2g 次回 次回のコラムでは、『生活の質を高める睡眠』についてご紹介します。 https://mag.viestyle.co.jp/columm22/

効率よく暗記する方法は?「睡眠」と「学習」の関係性は?

寝る前に勉強をすると暗記に効果的である、ということを聞いたことはありませんか?これは、脳科学的に考えると「記憶の定着には睡眠をとることが大切である」と言い換えることができます。 今回は『睡眠と学習の関係性』について深掘りしていきます。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm08/ 記憶の定着には睡眠が大事!一夜漬けがNGな理由とは? ビールを好きになる脳の仕組み でご紹介したように、私たちの脳は、繋がりのなかったシナプス同士が新しく繋がることで、ビールがだんだん好きになったり、できなかったことができるようになったりします。 このように、起こった新しい変化を維持することを「固着」と呼ぶのですが、固着が起こるのは睡眠の最中です。そのため学習とって睡眠は非常に重要ですが、睡眠の中でも学習において重要な現象が2つあります。 1つは「オフラインパフォーマンスゲイン」です。ここでの「オフライン」は、お風呂に入っていたり、寝ていたりする、勉強している時間以外を指します。このような「オフライン」の状態を勉強の合間に挟むことで、パフォーマンスが向上することを「オフラインパフォーマンスゲイン」と呼びます※1。 私たちの脳には、「ハイパーアムネジア」(アムネジア:amnesia=記憶喪失)と呼ばれる仕組みがあります。これは、一度覚えたことを再び思い起こそうとすることで、頭の中でその記憶が蘇ってきて固着し、さっきまで思い出せなかったことが思い出せるようになる、というものです。この仕組みにおいて、合間に「休む」ということがとても重要です。 よく昔から、良い発想は馬の上や、ベッドの上からなどという、ことわざのようなものがありますが、このようなオフラインの状態というのは、脳科学的にも固着が起きる重要なポイントだったのです。 睡眠と学習において重要な2つの現象のうちの、もう1つは「スタビライゼーション:stabilization=固定化」です。実は何かを学んだ後は「今起きたことは脳にとって大事なものなのか」を脳が考えている状態になります。必要でないものは削除していかないと、容量がいっぱいになってしまうため、覚えたての記憶は、そのような天秤にかけられている不安定な状態にあります。そこで睡眠を挟むことにより、何が起きても忘れないようにする、固定化を図ることができます※2。 睡眠にもさまざまな種類がありますが、「オフラインパフォーマンスゲイン」には、ノンレム睡眠の深い眠りが必要であり、「スタビライゼーション」には、レム睡眠の浅い眠りが大事になってきます。このように、記憶の定着には睡眠が大切になってくるため、テスト前に十分な睡眠をとることには、大きな意味があるのです。 ※1 出典:Offline memory consolidation during waking rest | Nature Reviews Psychology, 2024年7月9日参照 ※2 出典:Consolidating the Effects of Waking and Sleep on Motor-Sequence Learning | Journal of Neuroscience (jneurosci.org), 2024年7月9日参照 効率の良い勉強方法は「自分に合った学習方法」を学ぶこと 睡眠の他にも学び方というのは、「ラーニングストラテジー」といってさまざまなことが言われてきています。 例えば、「認知方略」ではリハーサルといって、フラッシュカードのように繰り返し英単語を流していくやり方であったり、自分で覚えたことを要約してみる「精緻化方略」、グラフや絵を書いてみる「体制化方略」などがあります。また「メタ認知方略」といって、自分が何を勉強するかを計画し、どれくらい達成できたかをモニタリングし、できたできなかったを自分で評価して、次の計画に活かすというような方略もあります。 どれが正しいというより、どの方略をどの勉強に使うのが自分にとって最適であるのかを知ることが大切です。それを知る知識が、効率の良い勉強において重要になるのです。 脳波計をつけて記憶の固着を図る!? 最近では、睡眠時の脳波をモニタリングし、記憶の固着をする脳活動が起きているときに、それと同じような脳活動を起こす音を流すだけで、その脳活動を増やして固着の補助をすることも可能になっています※。実際にこのような技術が、一部では商品化されており、私たちの会社 VIE でも挑戦したいと思っています。 まとめ 睡眠は脳が覚えたことを固定化し、翌日以降も忘れないようにするための大事なプロセスです。そのため学ぶことと同じくらい寝ることは大切になります。最近のニューロテクノロジーでは、睡眠中の記憶活動を助けることができるので、「勉強したら脳波計をつけて寝る」というような未来が実現したら面白いですね。 脳波を活用したビジネスについてはこちらの記事でも紹介しています。 https://mag.viestyle.co.jp/eeg-business/ 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/2GHsHGSFh8AWP2tpwlQWUF?si=I3GgiTIoSvm148ueR1n6cw 次回 次回のコラムでは、『ダイエットと脳科学』についてご紹介します。 https://mag.viestyle.co.jp/columm10/

褒め方1つで成績が変わる!?褒められて伸びるかどうかは遺伝子の違い?

効率の良い学習方法や、結果に結びつくのに最適な勉強方法は、常に親も子も模索していると思います。実は「スペース学習」といって、効率の良い勉強方法というものは脳科学的に解明されているのです! 今回は、そのような『勉強の悩みに対する解決策』や、『言語学習とニューロテクノロジーの話』についてご紹介します。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm07/ 同じことをやり続けるのはダメ?効率の良い勉強の仕方! 効率の良い暗記の方法や、勉強の仕方を知りたい人は、大勢いるはずです。個人差はありますが、「声に出しながら文字を書く」というように、マルチモーダルで視覚や聴覚など、あらゆる感覚を研ぎ澄まして覚えていくことは、効率が良いとされています。 また「分散学習」といって、例えば英語の勉強をしたいというときに、ひたすら英語をやるのではなく、途中で数学や古文を挟むなどして、ブロックに分けて取り組むほうが、効率よく勉強できるとも言われています。同じことをやり続けることは、必ずしも効率が良いわけではなく、「スペーシング」「スペース学習」といって、一回やったら間に何か他のことをやる時間を作ることにより、集中力を発揮しながら、効率の良い勉強が期待できます。 褒め方一つで成績が変わる!結果に結びつく褒め方とは? 以前 やる気の引き出し方 で、報酬やご褒美はあまり良いパフォーマンスをもたらさない、ということが示された実験をご紹介しました。しかし、実は悪くないご褒美も中にはあります。 ある実験で、テストで良い結果が出たらご褒美のシールをもらえる群と、テスト勉強をしたらシールをもらえる群に分けたところ、後者の方が明確にテストで良い結果を残したことが分かりました。 どのように頑張れば成績が上がるのか不明確な中で、テストの点がたまたま良かった時に、ご褒美を与えられても、何をしたから良かったのかが分からないままです。 しかし、「インプット・アウトプットアプローチ」といって、勉強をして結果を出す因果関係の中で、その過程を評価することによって、「本を読んだから結果が出せたんだ」「この問題集に取り組めば出来るようになるんだ」というように、成績が上がるための勉強方法が強化されていき、結果としてアウトプットの成績が良くなっていきます。インプットに報酬を与えてやる気を出させれば、しっかりとアウトプットに繋がっていくのです。 日本の親は、子どものテストの点数や結果を褒める傾向にありますが、実はテストの点数が上がりそうなことをしているときに、子どもを褒めてあげるのが、一番良いとされています。 また「褒められて伸びるタイプ」と「叱られて伸びるタイプ」というように、2つに分けて考えることもできます。実際、日本人の8割は「褒められて伸びるタイプ」、2割は「叱られて伸びるタイプ」と答えるそうです。 学習をするときに働く、やる気に関わる「ドーパミンニューロン」には、遺伝的な個人差があります。何か物事がうまくいって、報酬がもらえたときに学習が促進するタイプの遺伝子を持っている人と、失敗をしてしまい、罰が来たときに「もうこんなことはやらない!」というように学習が促進するタイプの遺伝子を持つ人がいて、その割合はおよそ 8:2 だそうです。 このように、脳の中でのドーパミンニューロンのタイプは遺伝的に決まるため、「褒められて伸びるタイプ」であるか、「叱られて伸びるタイプ」であるかには個人差があるのです。 また、先ほどの「インプット・アウトプットアプローチ」とも関わってきますが、「あなたは頭がいいね」というように能力を誉められるのと、「勉強をして偉いね」というように努力を誉められるのとでは、後者の方が良い結果を出した、という実験もあります※。これは勉強だけでなく、「可愛いね」と言われるより、「毎日スキンケア頑張っていて偉いね」と言われる方が、もしかしたら、より嬉しく感じ、「もっと自分磨きを頑張ろう」と思えるようになるかもしれません。 このように、褒め方一つで、結果の良し悪しが変わってくるのです。 ※出典:Praise for intelligence can undermine children's motivation and performance. (apa.org), 2024年7月9日参照 「L」と「R」の違いが聞き取れるように!?語学学習の未来 英語や韓国語などの、日本語以外の語学学習に苦労する人は、たくさんいると思います。自分にとっての第一言語を話す時に、「言語中枢」といって、発話に関する脳の部分が働くのですが、第二言語、第三言語を話すときは、その処理の仕方が少し変わってしまいます。これが、第一言語以外の語学を習得する難しさに繋がっています。しかし、ニューロテクノロジーを活用することで効果的に語学学習をおこなうことができる、ということが分かっています。 例えば、言語に関わるような脳の領域に、電極を貼って電気を流すと、外国語学習や単語の記憶力が促進されるということが分かっています※。 また、言語の聞き取りに関しては、私たちの会社VIE の成瀬さんが開発した技術があります。英語の「L」と「R」は、聞き取ることも、発音することも日本人にとっては困難です。しかし、わずかな違いを脳が感知している様子をリアルタイムで画面に映し出し、ニューロフィードバックを行うことによって、何十年も聞き取れなかった「L」と「R」の違いを、聞き取れるような聴覚経路に脳を再配線してあげることが可能になるのです。 また、最近では語学学習に向いている「性格」がある、ということが言われています。人と話すことが好きな「外交性」や、オープンマインドといった「開放性」のような特性を持っている人は、語学の習得が早いことが分かっています。 ニューロフィードバックについてはこちらの記事でも紹介しています。 https://mag.viestyle.co.jp/columm36/ ※出典:Learning of Foreign Language Sounds Boosted by Non-invasive Nerve Stimulation (scitechdaily.com), 2024年7月9日参照 まとめ 学び方には人それぞれの方法がありますが、その方法が適切でないことも多々あります。一つのことに集中した方がいいと思っていても、実は分散した方がよかったり、やる気の出し方も誉め方一つで変わったりするのです。 また最近では、脳に直接アプローチするような刺激や、ニューロフィードバックの力を使って、第二言語の学習を促進する、夢のような学習技術が実現しつつあります。 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/6wbqS2XZFerTYCPa6QKlFG?si=2-OFlUTFQ-q0Oi-6-0FkCA 次回 次回のコラムでは、『睡眠と学習の関係性』について脳科学的な視点からご紹介します。 https://mag.viestyle.co.jp/columm09/

生活の質を高めるお酒の話/お酒によってコミュ障を克服!?

みなさんはアルコールに対してどのようなイメージがありますか?「アルコール中毒」といったマイナスな側面が強調されることがありますが、プラスな側面もたくさんあることが分かっています。 例えば、アルコールによって不安を軽減することができたり、初対面の人とも打ち解けることができたりなど、アルコールは社会における対人関係を手助けしてくれる要素も持ち合わせています。 初対面の人との交流の場で、アルコールが私たちをサポートしてくれるのは、アルコールにはセルフディスクロージャー(自己開示)を促す作用があるためです。 そんなアルコールに関連して、今回は『生活の質を高めるお酒に関する話』をご紹介します。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm01/ 対人関係に役立つ?アルコールは社会的な飲み物 人は誰しも「こんなことを言ったら嫌われるかな?」「恥ずかしいな?」といった不安や自意識過剰の念に駆られることがあります。 このような感情は、主に脳の前頭葉という部分で起こっています。前頭葉は、人の行動の開始や抑制を司る機能がありますが、アルコールの飲用によってこの「抑制」の機能が低下すると言われています。それにより、素面では恥ずかしさや不安で言えないようなことも、お酒が入ることによって自分をさらけ出しやすくなります。 自己開示をすると、相手も自分のことを話しやすくなる、このようにしてアルコールの力で初対面の人とも打ち解けやすくなるのです。 実際に、初対面の3人組がアルコールを飲みながら会話をする方が、飲まなかったグループよりも会話が弾み、笑顔が増え、終わった後に「自分たちは仲良しだ!」と感じる割合が高いということが示された研究※もあります。 初対面の相手とは「カフェから始める」よりも「お酒から始める」方が、仲良くなりやすいのかもしれません。しかし、先ほども述べたようにアルコールによって脳の「抑制」の機能が低下するため、その分リスクもあることは確かです。 ※出典:Moderate Doses of Alcohol Increase Social Bonding in Groups – Association for Psychological Science – APS, 2024年7月2日参照 適度な飲酒は快適な睡眠を導く? 最近の研究では、適度な飲酒は初期段階の睡眠を深める効果があることが示されています※。一方で、認知機能や感情の健康に影響を与える可能性があることも示唆されています。 はじめのうちはお酒をたくさん飲んだら、その分ぐっすりと眠られるかもしれません。しかし、それに味をしめて続けていくと、だんだん体も脳もアルコールに対する耐性がついてきてしまいます。 これは「辛いものを食べ続けると、同じ辛さでは満足できなくなっていく」のと同じ現象です。質の高い睡眠をアルコールによって誘発したいのであれば、一杯ほどの飲酒が良いのかもしれません。 ※出典:Alcohol before bed: New research uncovers its impact on sleep architecture (psypost.org) , 2024年7月2日参照 記憶はつくられていなかった!?「飲み過ぎて記憶を飛ばした」は間違い みなさんは「飲み過ぎて記憶飛ばしちゃったよ…」と誰かが言っているのを聞いたことはありませんか?この記事を読むお酒好きの方なら、自分でこのセリフを言ったことがある人もいるかもしれませんね。 しかし、実はこの言葉は間違いなのです。「記憶が飛ぶ」というのは、「ちゃんと記憶していたのに忘れちゃった」ということを指しますが、実際には飲み過ぎてしまった人の脳の中では「記憶をする」という機能自体が働いていないのです※。 もう少し説明すると、その人がその場で会話ややりとりをするのに必要な「短期記憶」は脳の中で働いています。しかし、次の日までその記憶を保持する「長期記憶」は働いていません。それにより、側から見ると普通に会話をしていた人でも、本人は次の日、記憶を無くしてしまっていることがあるのです。 つまり「記憶が飛んだ」ではなく、「記憶は作られていない」という方が正しいことになります。 ※出典:Interrupted Memories: Alcohol-Induced Blackouts | National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism (NIAAA) (nih.gov), 2024年7月2日参照 まとめ アルコールには健康のリスクはありますが、良い面もたくさんあります。不安を和らげたり、断りづらいことを断れるようになったり、新しい人との絆を強めたりなど、アルコールによって実現されることは数多くあります。さらに、適度な飲酒は睡眠の質を良くし、あなたの人生を豊かにするでしょう。 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/25ZFcvkz3vnknJgI9cOJJ9?si=vl95oM6MR-iVXfsyAqOuNA 次回 次回のコラムでは、『お酒とニューロテクノロジーで実現する新しい世界』 をテーマにご紹介します。 https://mag.viestyle.co.jp/columm03/

脳波とは?種類からビジネス活用まで徹底解説

脳波を活用したブレインテックの市場規模は急速に拡大し、多くのビジネス分野での応用が進んでいる一方で、海外に比べて日本では脳波を活用したビジネスは数が少ないのが現状です。 そこで本記事では、海外から日本における脳波を活用したビジネスの現状を包括的に解説し、脳波を活用することで得られる新たなビジネスチャンスについて探ります。 さらに、脳波が企業活動にどのような革新をもたらしているか、具体的な事例を通じて紹介します。脳波技術の最前線を知りたい方や新たなビジネス機会を模索している方に必見の内容となっていますので、ぜひご覧ください。 脳波とは 脳波とは、脳が活動しているときに発生する微小な電気信号のことです。私たちの脳内で、神経細胞が互いに情報を送り合う際には小さな電気的なパルスが生じ、これが集まって特定のリズムやパターンを形成します。この現象を脳波と呼んでいます。 睡眠の質やストレスの度合いを調べるために脳波を測定し、健康状態や心理状態の手がかりとして活用されています。 さらに、ブレインテックという、脳科学を活用したテクノロジーも世界的に注目されています。この技術は医療分野に限らず、ゲームなど様々な分野で応用されており、ビジネスの世界でも脳波の研究や活用に注力する企業が増えています。 https://mag.viestyle.co.jp/braintech/ 脳波の種類 脳波にはいくつかの種類があり、行っている活動によって種類が変わります。 たとえば、睡眠中やリラックスしているときにはデルタ波やシータ波が、集中しているときにはガンマ波が観測されるなど、活動に応じてそれぞれ異なる脳波が観測されます。 δ波(デルタ波):周波数が0.5〜4Hzの波で、深い睡眠時に主に見られます。 θ波(シータ波):周波数が4〜8Hzの波で、軽い睡眠やリラックスした状態、創造的な活動が行われる時に現れることがあります。 α波(アルファ波):周波数が8〜13Hzの波で、リラックスして目を閉じた状態で現れやすいです。瞑想やリラックスした覚醒状態に関連しています。 β波(ベータ波):周波数が13〜30Hzの波で、覚醒して活動的な思考や注意が行われている時に見られます。 ガンマ波:周波数が30Hz以上の波で、集中している状態や認知活動が高まっている時に観測されることが多いです。 https://mag.viestyle.co.jp/eegmeasurement/ 脳波が発生する仕組みとは 脳波は、私たちの脳内で神経細胞(ニューロン)が活動する際に発生します。これらの細胞は、情報を伝達するために電気信号を利用します。ニューロンが活動するとき、小さな電流が生じ、これらの電流が集まることで脳波と呼ばれる特定の波形が形成されます。 例えば、本を読んでいるとき、テレビを見ているとき、寝ているときなど、脳は異なる活動をしています。このとき、それぞれの活動に応じて異なるパターンの脳波(上述)が発生します。 リラックスしている時にはゆったりとした波が、集中している時には速い波が、それぞれ観測されるのです。 このように、私たちが何をしているかによって異なる脳波が発生しているので、脳波を測定することで、さまざまな活動や脳の状態を知る手がかりになります。 脳波を活用したビジネスの市場規模やトレンド 脳波を活用したブレインテック市場は、特にEEG(脳波計)デバイスの分野で急速に成長しています。2021年から2028年にかけての市場規模は約10億ドルから約17億ドルへと拡大すると予測されており、年間平均成長率は7.5%と見られています。 この市場の成長は、これまでの医療分野での技術進歩だけでなく、教育、エンターテイメント、個人向けウェルネスといった新しい市場の開拓によっても推進されています。特に、消費者向けの健康管理やストレス軽減を目的とした製品が人気を集め、脳波技術の普及を促進しています。 脳波をビジネスに活用する具体例 次の章で具体的な企業事例を紹介しますが、ここでは、脳波をビジネスに活用するとどのようなことが実現できるのか。その具体例を簡単に紹介します。 たとえば、教育分野では、学習者の集中度を測定し、カスタマイズされた教育プログラムを提供するために脳波が活用されています。また、ビデオゲームや仮想現実(VR)技術においても、プレイヤーの感情や反応をリアルタイムで把握し、より没入感のある体験を提供するために利用されています。 さらに、マーケティング分野では、消費者の広告に対する反応を分析し、より効果的な広告戦略を立てるために脳波データが用いられることがあります。これにより、消費者の未言語化された感情や本能的な反応を捉え、製品やサービスの改善につなげることが可能です。 これらの例からもわかるように、脳波技術は単に医療分野に留まらず、日常生活のさまざまな側面に革新をもたらす可能性を秘めています。このように多方面での応用が進むことで、脳波技術の市場はさらに広がりを見せ、新しいビジネスチャンスが生まれています。 海外の脳波ビジネスのトレンド それでは、海外では脳波を用いてどのようなことを行っているのかを紹介します。 特にブレインマシーンインターフェース(BMI)技術が様々な産業で革新をもたらしています。 アメリカ合衆国: 軍事アプリケーション: 米国国防総省(DARPA)は、脳波を利用して兵士の戦闘能力を向上させるプロジェクトを支援しています。具体的には、思考だけでドローンを操縦する技術の開発などが行われています。 医療アプリケーション: カリフォルニア大学バークレー校では、脳に直接埋め込むことができる「ニューラルダスト」と呼ばれる微小センサーの開発が進んでおり、これにより、神経活動を高精度でモニタリングできます​ (RAND)​。 https://mag.viestyle.co.jp/braintechmedical/ ヨーロッパ: 教育とトレーニング: ヨーロッパの一部の教育機関では、BCIを用いて学生の学習効率を高めるための研究が進められています。注意力や集中力のデータを基に、個別の学習プランを最適化する試みが行われています。 アジア: 産業オートメーション: 日本を含むアジアの国々では、BCI技術を産業用ロボットや自動化システムと組み合わせることで、製造ラインの効率化や作業者の負担軽減を目指しています。 脳波ビジネスを行う企業事例5選 ここからは、実際に脳波をビジネスに活用している企業事例を日本と海外に分けて紹介します。 日本の企業事例 VIE株式会社:イヤホン型脳波計と企業向け脳波解析プログラムの提供 VIE株式会社は、イヤホン型脳波計「VIE ZONE」と脳波解析プログラムの提供しています。 このプログラムは研究者や企業の研究開発部門向けに設計されており、イヤーチップが電極となることで耳から脳波を計測できます。従来の煩雑な装着手順を省き、日常的に使用できるこのデバイスは、ニューロテクノロジーの研究と応用を大きく前進させます。VIEは、これにより幅広い産業における脳波データの利活用を促進します。 また、脳情報を研究や事業に活用することのできるサービス「VIE Streamer」の提供もしています。 VIE Streamer:https://streamer.vie.style/ Ghoonuts株式会社 Ghoonuts株式会社は、脳刺激デバイスを開発し、治療が確立していない疾患の医療に貢献することを目指す会社です。 特に失語症の患者向けに言語トレーニングアプリを開発中で、どこにいても言語リハビリを利用できるサービスを提供することを目標としています。さらに、認知症や統合失調症など、薬だけでは解決できない分野への挑戦も計画しています。 HPはこちら:https://ghoonuts.com/ 海外の企業事例 EMOTIV社:脳波による感情分析技(アメリカ) EMOTIV社は、高度な脳波測定デバイスと感情分析ソフトウェアを開発しています。これらの製品を通じて、ユーザーの感情状態や認知パターンをリアルタイムで把握することができ、ウェルネス、マーケティング、教育など多岐にわたる分野で活用されています。特に、企業が消費者の無意識の反応を分析するのに利用されることがあります。 HPはこちら:https://www.emotiv.com/ NeuroPro社:脳波による精密なデータ分析(スイス) NeuroProは、脳波データの解析と可視化を行う高度なソリューションを提供するスイスの企業です。この技術は医療診断、リサーチ、そしてパーソナルヘルス管理に利用されており、脳の活動パターンを詳細に把握することが可能です。特に、神経科学の研究や臨床試験において重要なツールとされています。 HPはこちら:https://www.neuropro.ch/ NeuroSky社:脳波を利用した教育ツール(アメリカ) NeuroSky社は、脳波計測技術を活用した教育向けアプリケーションを提供しています。これにより、学習者の集中力やリラックス状態を測定し、個別の学習プランの最適化やストレス管理に貢献しています。学校や教育機関での導入事例が増えており、効果的な学習サポートツールとして注目されています。 HPはこちら:https://neurosky.com/ ビジネスにおけるブレインテックの活用事例10選 ブレインテックがビジネスでどのように活用されているのかを示す、10の企業事例をまとめた資料をご用意しました。無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。 資料をダウンロードはこちら 脳波を活用したビジネスの今後に注目 脳波技術は、ビジネスや日常生活において大きな可能性を秘めています。市場規模は急速に拡大しており、医療や教育、エンターテイメントなど多岐にわたる分野での応用が進んでいます。 脳波を活用した製品やサービスは、私たちの生活をより便利で効率的なものに変える力を持っています。今後も脳波技術の進化が続く中、新たなビジネスチャンスを見逃さないためには、この分野への理解と関心を持ち続けることが重要です。

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