ブレインテックとは?最新の活用事例を紹介

ブレインテック
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ブレインテックとは?

ブレインテックとは、脳(Brain)と技術(Technology)の融合を表す言葉で、脳科学に関連したテクノロジーやサービスのことを指します。

ブレインテックは高度なIT技術を駆使して、人の好みやストレスレベル、脳疾患などのあらゆる「脳の情報」を収集します。これらのデータはマーケティングに活かしたり、アプリケーションとして集中度や睡眠の深さを可視化したり、モニタリング用の診断機器に応用したりなど幅広い展開が可能であり、多くの期待が寄せられている分野です。

これまでヒトの脳は解明されていない部分が多く、医療や私たちの生活の中で応用する機会はなかなかありませんでした。しかし、近年のIT技術の進歩や脳科学分野での研究が進んだことにより、ブレインテックを活用した新しいサービスが次々と生み出されています。

アメリカでは、神経(Neuro)と技術(Technology)を組み合わせて、ニューロテックとも呼ばれることもあり、世界的に注目を集めている領域の1つです。

世界的に注目されている理由

ブレインテックが注目されている理由の1つは、技術の進歩です。

例えば、脳波は今から100年ほど前にドイツのハンスベルガーという人物によって発見されています。しかしその脳波がデバイスやアプリに用いられたり、BMI(Brain Machine Interface)といわれる脳情報とコンピューターを繋ぐ技術が開発され、実生活に応用されるようになったのは、2000年に入ってからのつい最近の出来事です。

ブレインテックは脳波計測技術の向上やコンピューターの性能向上など、さまざまな技術の進歩のおかげで、これまでになかったビジネスやサービスが生まれ注目されています。

どのような分野で活用されているのか

ブレインテックはさまざまな分野で活用されています。以下は主な例です。


医療・・・ 脳波計測や脳画像解析技術を活用した、診断や治療支援が行われています。例えば脳波を計測して、てんかんの発作を予測したり、脳疾患のリハビリテーションに活用されています。

ヘルスケア・・・ストレスレベルのモニタリングや睡眠の分析など、生活習慣の改善を促進させてくれる技術として活用されています。

エンターテイメント・・・ユーザーの脳活動から操作が可能なゲームや、リラクゼーションやストレス解消に効くブレインテックを用いた音楽アプリが開発されています。

教育・・・ニューロフィードバックといわれる、自身の脳活動を記録し、その情報をフィードバックすることで脳をトレーニングする方法を用いて、集中力や記憶力の向上を目指すプログラムが提供されています。

他にもあらゆる分野でブレインテックは活用されており、幅広い応用が期待されています。

国内外のブレインテック企業を一挙紹介

ブレインテックはベンチャー企業から大手企業まで、幅広い企業が積極的に参入しています。その中には、日本のスタートアップからアメリカの大手テクノロジー企業までさまざまな企業が挙げられます。ここでは注目を集めている国内外のブレインテック企業を一挙紹介していきます。

海外のブレインテック企業

  • Neuralink(米)
  • Kernel(米)
  • BioSerenity(仏)

Neuralink(米)

アメリカの実業家イーロン・マスク氏が設立したNeuralinkは、脳とコンピューターを繋ぐBCI(Brain Computer Interface)技術の開発に取り組む、世界的に注目されている企業の一つです。

この技術は、脳で思考しただけで機械を直接制御できるようになることを目指しており、Neuralinkでは埋め込み型(侵襲型)デバイスの開発に注力しています。2024年に入ってからは、マスク氏がXにて臨床試験の被験者の募集も行っており、近い将来の実用化に目が離せません。

HPはこちら:https://neuralink.com/

Kernel(米)

2016年に設立されたKernelは、ヘッドセットの形をした非侵襲型の脳モニタリングデバイスを開発・提供している企業です。

Kernelのヘッドセットは、TD-fNIRSといわれる高度な脳波測定技術が使われています。この技術に挑戦する企業は少ないため、Kernelは既存のハードウェアが無い0からの開発に成功しました。現在はFDA承認に向けて臨床試験が行われています。

HPはこちら:https://www.kernel.com/

BioSerenity(仏)

BioSerenityは、2014年にフランス・パリで設立された医療技術の分野で活動する企業です。

リモートでの患者のモニタリングサービスを提供しており、2021年1月にはウェアラブルEEGデバイスがFDAの承認を受けました。これにより、てんかん患者の脳状態を医師が遠隔で監視・評価することが可能になっており、てんかんモニタリングデバイスの需要増加を支える主力のサービスとなっています。

HPはこちら:https://bioserenity.com/

日本のブレインテック企業

  • 株式会社LIFESCAPES
  • VIE株式会社
  • Ghoonuts株式会社

株式会社LIFESCAPES

株式会社LIFESCAPESは、BMI技術を駆使したリハビリ機器の開発に取り組み、脳卒中後の重度麻痺患者のQoL向上を目指す取り組みを行なっています。

慶應義塾大学 牛場潤一研究室の研究成果活用企業として、BMIによる新たなトレーニングやリハビリ方法の提案を行い、BMIの可能性を追求している企業です。

HPはこちら:https://lifescapes.jp/

VIE株式会社

VIE株式会社は、イヤホン型のウェアラブル脳波計を開発しており、電極のついたイヤーチップから脳波を簡易的に取得することを可能にしています。

この脳波計を用いて、製薬企業との共同研究から睡眠や集中に特化した音楽アプリの配信まで、メディカル、エンターテイメントなど幅広い分野でブレインテックを活用しています。独自の解析キットも提供しており、一般のユーザも気軽に脳波に触れることができる機会を創出しています。

HPはこちら:https://www.viestyle.co.jp/

Ghoonuts株式会社

Ghoonuts株式会社は、脳刺激デバイスの開発を通じて、治療が確立していない疾患に対する医療への貢献を目指しています。

特に失語症の患者向けに、言語トレーニングアプリの開発に着手しており、どこにいても誰もが言語リハビリを利用できるサービスの展開を目標としています。他にも認知症や統合失調症など、薬だけでは解決できない分野への挑戦も行う計画です。

HPはこちら:https://ghoonuts.com/

最新ブレインテックの活用事例5選

医療分野からビジネス分野まで、ブレインテックは近年幅広い領域で盛り上がりを見せています。今後も技術の進化が期待されており、新しい情報が日々アップデートされていく中で、2023年以降に発表された最新のブレインテック活用事例を厳選して紹介します。

  • 英 Neurovalens|不眠症を改善するデバイス
  • アース製薬株式会社|脳波計を装着して商品パッケージを改良
  • 日産自動車株式会社|脳波トレーニングでドライバーのパフォーマンス向上
  • アットアロマ株式会社|香り体験を可視化して購買行動をサポート
  • VIE株式会社|「なりたい状態」に脳を近づけるニューロミュージック

英 Neurovalens|不眠症を改善するデバイス

Neurovalensは、不眠症の改善に新たなアプローチを提供する「MODIUS SLEEP」というヘッドセットを開発しました。

このデバイスは2023年10月にFDAによる医療機器認可を取得しており、非侵襲的な電気刺激によって睡眠の改善を図ることが可能になっています。就寝前の30分間の着用で、睡眠スコアの向上や睡眠に対する満足度を高めることが期待されています。

HPはこちら:https://neurovalens.com/

アース製薬株式会社|脳波計を装着して商品パッケージを改良

アース製薬は、商品パッケージのデザイン改良に、ブレインテックを活用しています。

脳波計を装着した被験者に商品パッケージを提示し、視線や脳波を計測・解析することで、「どのような商品が目に止まるのか」「好感を示すデザインはどれか」といった評価を行います。この新しいマーケティング手法はすでに特許を取得しており、商品開発においてお客様の潜在的なニーズに入りこむことを可能にしています。

HPはこちら:https://www.earth.jp/

日産自動車株式会社|脳波トレーニングでドライバーのパフォーマンス向上

日産自動車は脳波測定を用いた運転支援技術を開発し、ドライバーの脳機能や認知機能を向上させる取り組みを展開しています。

国際カーレースのフォーミュラEでは、「ブレイン・トゥ・パフォーマンス」と呼ばれる脳の潜在能力を引き出すトレーニングを採用し、さらなる運転パフォーマンスの向上を目指しています。

HPはこちら:https://www.nissan.co.jp/

アットアロマ株式会社|香り体験を可視化して購買行動をサポート

アットアロマは、脳波計を用いて店頭で香りを体感した時のリラックス度を測定し、AIが顧客に最適なアロマを分析・提供するイベントを開催しました。

これまで主観的でのみ評価していた香りを、アロマの用途に合わせて「リラックス」という指標を掲げることで、顧客が客観的かつ定量的に商品を選択することが可能になりました。

HPはこちら:https://www.at-aroma.com/

VIE株式会社|「なりたい状態」に脳を近づけるニューロミュージック

VIEは、ユーザーがリラックスや集中などの「なりたい状態」を選択することで、その状態に脳を近づける音楽を流す、脳チューニング音楽アプリ「VIE Tunes」を配信しました。

特定の脳活動を増減させることが、科学的に立証されたニューロミュージックは、さまざまなアーティストとのコラボも行っており、世界中のユーザーが利用しています。

HPはこちら:https://www.viestyle.co.jp/

幅広い応用が期待されるブレインテック

ブレインテックは、脳と技術を融合させた新たな領域として、医療、エンターテイメント、ビジネスなど、幅広い分野で活用されています。

世界中のさまざまな企業が革新的な取り組みを行なっており、日々進化するブレインテックは、私たちの生活の中にも浸透していき、より身近に感じられる日も近いでしょう。

脳情報で事業や研究をアップデート「VIE Streamer」

           

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ブレインテック
この記事を書いた人
BrainTech Magazine編集部

BrainTech Magazine編集部のアカウントです。
運営する株式会社VIEは、「Live Connected, Feel the Life~」をミッションに、ニューロテクノロジーとエンターテイメントで、感性に満ちた豊かな社会をつくることをサポートするプロダクトを創造することで、ウェルビーイングに貢献し、さらに、脳神経に関わる未来の医療ICT・デジタルセラピューティクスの発展にも寄与していきます。

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