褒め方1つで成績が変わる!?褒められて伸びるかどうかは遺伝子の違い?

コラム
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効率の良い学習方法や、結果に結びつくのに最適な勉強方法は、常に親も子も模索していると思います。実は「スペース学習」といって、効率の良い勉強方法というものは脳科学的に解明されているのです!

今回は、そのような『勉強の悩みに対する解決策』や、『言語学習とニューロテクノロジーの話』についてご紹介します。

前回のコラムはこちらです。

同じことをやり続けるのはダメ?効率の良い勉強の仕方!

効率の良い暗記の方法や、勉強の仕方を知りたい人は、大勢いるはずです。個人差はありますが、「声に出しながら文字を書く」というように、マルチモーダルで視覚や聴覚など、あらゆる感覚を研ぎ澄まして覚えていくことは、効率が良いとされています。

また「分散学習」といって、例えば英語の勉強をしたいというときに、ひたすら英語をやるのではなく、途中で数学や古文を挟むなどして、ブロックに分けて取り組むほうが、効率よく勉強できるとも言われています。同じことをやり続けることは、必ずしも効率が良いわけではなく、「スペーシング」「スペース学習」といって、一回やったら間に何か他のことをやる時間を作ることにより、集中力を発揮しながら、効率の良い勉強が期待できます。

褒め方一つで成績が変わる!結果に結びつく褒め方とは?

以前 やる気の引き出し方 で、報酬やご褒美はあまり良いパフォーマンスをもたらさない、ということが示された実験をご紹介しました。しかし、実は悪くないご褒美も中にはあります。

ある実験で、テストで良い結果が出たらご褒美のシールをもらえる群と、テスト勉強をしたらシールをもらえる群に分けたところ、後者の方が明確にテストで良い結果を残したことが分かりました。

どのように頑張れば成績が上がるのか不明確な中で、テストの点がたまたま良かった時に、ご褒美を与えられても、何をしたから良かったのかが分からないままです。

しかし、「インプット・アウトプットアプローチ」といって、勉強をして結果を出す因果関係の中で、その過程を評価することによって、「本を読んだから結果が出せたんだ」「この問題集に取り組めば出来るようになるんだ」というように、成績が上がるための勉強方法が強化されていき、結果としてアウトプットの成績が良くなっていきます。インプットに報酬を与えてやる気を出させれば、しっかりとアウトプットに繋がっていくのです。

日本の親は、子どものテストの点数や結果を褒める傾向にありますが、実はテストの点数が上がりそうなことをしているときに、子どもを褒めてあげるのが、一番良いとされています。

また「褒められて伸びるタイプ」と「叱られて伸びるタイプ」というように、2つに分けて考えることもできます。実際、日本人の8割は「褒められて伸びるタイプ」、2割は「叱られて伸びるタイプ」と答えるそうです。

学習をするときに働く、やる気に関わる「ドーパミンニューロン」には、遺伝的な個人差があります。何か物事がうまくいって、報酬がもらえたときに学習が促進するタイプの遺伝子を持っている人と、失敗をしてしまい、罰が来たときに「もうこんなことはやらない!」というように学習が促進するタイプの遺伝子を持つ人がいて、その割合はおよそ 8:2 だそうです。

このように、脳の中でのドーパミンニューロンのタイプは遺伝的に決まるため、「褒められて伸びるタイプ」であるか、「叱られて伸びるタイプ」であるかには個人差があるのです。

また、先ほどの「インプット・アウトプットアプローチ」とも関わってきますが、「あなたは頭がいいね」というように能力を誉められるのと、「勉強をして偉いね」というように努力を誉められるのとでは、後者の方が良い結果を出した、という実験もあります。これは勉強だけでなく、「可愛いね」と言われるより、「毎日スキンケア頑張っていて偉いね」と言われる方が、もしかしたら、より嬉しく感じ、「もっと自分磨きを頑張ろう」と思えるようになるかもしれません。

このように、褒め方一つで、結果の良し悪しが変わってくるのです。

※出典:Praise for intelligence can undermine children’s motivation and performance. (apa.org), 2024年7月9日参照

「L」と「R」の違いが聞き取れるように!?語学学習の未来

英語や韓国語などの、日本語以外の語学学習に苦労する人は、たくさんいると思います。自分にとっての第一言語を話す時に、「言語中枢」といって、発話に関する脳の部分が働くのですが、第二言語、第三言語を話すときは、その処理の仕方が少し変わってしまいます。これが、第一言語以外の語学を習得する難しさに繋がっています。しかし、ニューロテクノロジーを活用することで効果的に語学学習をおこなうことができる、ということが分かっています。

例えば、言語に関わるような脳の領域に、電極を貼って電気を流すと、外国語学習や単語の記憶力が促進されるということが分かっています

また、言語の聞き取りに関しては、私たちの会社VIE の成瀬さんが開発した技術があります。英語の「L」と「R」は、聞き取ることも、発音することも日本人にとっては困難です。しかし、わずかな違いを脳が感知している様子をリアルタイムで画面に映し出し、ニューロフィードバックを行うことによって、何十年も聞き取れなかった「L」と「R」の違いを、聞き取れるような聴覚経路に脳を再配線してあげることが可能になるのです。

また、最近では語学学習に向いている「性格」がある、ということが言われています。人と話すことが好きな「外交性」や、オープンマインドといった「開放性」のような特性を持っている人は、語学の習得が早いことが分かっています。

ニューロフィードバックについてはこちらの記事でも紹介しています。

404 NOT FOUND | BrainTech Magazine by VIE
ブレインテック専門メディア

※出典:Learning of Foreign Language Sounds Boosted by Non-invasive Nerve Stimulation (scitechdaily.com), 2024年7月9日参照

まとめ

学び方には人それぞれの方法がありますが、その方法が適切でないことも多々あります。一つのことに集中した方がいいと思っていても、実は分散した方がよかったり、やる気の出し方も誉め方一つで変わったりするのです。

また最近では、脳に直接アプローチするような刺激や、ニューロフィードバックの力を使って、第二言語の学習を促進する、夢のような学習技術が実現しつつあります。

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次回

次回のコラムでは、『睡眠と学習の関係性』について脳科学的な視点からご紹介します。

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