男性は女性よりも感謝しにくい?相手に感謝を伝えるためには〇〇を贈ることが効果的!

コラム
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前回は人から感謝されるよりも、自分から感謝をすることの方が大切だということを学びました。しかし実際に感謝というものは、気軽にできるものではないことも分かっています。

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感謝をすることで、パフォーマンスが発揮されたり、良い人間関係が構築されたり、たくさんのメリットがあります。今回はそうした恩恵を受けるためにも、感謝のコツについて学んでいきましょう!

前回のコラムはこちらです。

感謝しにくい人ってどんな人?

最近の研究で、「感謝ができる人」というのは、限られていることが分かってきています。私たちが感謝しやすい相手は、友達や家族などの身近な人たちです。反対に、前回のコラムでも紹介したように、仕事上の人間関係では、感謝の気持ちが芽生えにくいと言われています。

以前の「勉強」をテーマにした回で、お金をもらって勉強をすることは、お金をもらわないと勉強をしなくなってしまうため、勉強自体のモチベーションは下がってしまうという話がありました。

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職場における感謝もそれと同様で、部下に自分の仕事を手伝ってもらっても、「そんなのお給料もらっているから当たり前じゃん」というように、お金が絡むことで感謝の気持ちが少なくなってしまいます。このように、お金が絡む仕事という場においては、人は感謝のメリットを受けにくいのです。

また、職位が上がっていくほど、人が親切にしてくれても、疑い深い見方をするようになってしまうと言われています。

例えば、「この人は私の仕事をたくさん手伝ってくれたけど、本当は私に取り入って出世したいだけなんだろう」というように、人の親切の意図をあれこれと詮索してしまうことが頻繁にあるようです。

さらに、女性は感謝しやすくて、男性は感謝しにくいというように、感謝の気持ちが起きるのには性別の違いも関係しています。どの文化圏でも、男性は感謝の気持ちを感じにくく、表現しにくいと言われています。女性は頻繁に手紙を書いたり、贈り物をして感謝の気持ちを表現しますが、男性は細々とした感謝の気持ちを伝える行為を、苦手とする人が多いのは、日常生活でも感じる場面が多いはずです。

その他にも、「私が感謝したところで、相手は喜んでくれないだろう」というように、相手の反応を過小評価してしまうために、感謝しにくくなってしまうことや、発達障害を持っている人は、人との関係の中で感謝の気持ちが起きにくいこと、さらには遺伝によって「感謝しやすい遺伝子」と「感謝しにくい遺伝子」の持ち主がいることも分かっています1

遺伝に関しては、そのような遺伝子を持っている人は、感謝の気持ちが少ないだけでなく、人を許す寛容性が少なかったり、幸福度が低かったり、うつ病になるリスクが高いということまでも分かっています2

最近では感謝に関連したサービスで、Unipos(ユニポス)のピアボーナスというものがあります。このサービスは、例えば、あなたが同僚に何か仕事を手伝ってもらったとき、感謝の気持ちを込めて、感謝のメッセージや少額のインセンティブを送ることのできる仕組みです。このようなサービスは、感謝しにくい人にとっては、感謝をする良い機会を作れるものになるでしょう。

1 出典:Why Is Gratitude So Hard for Some People? (berkeley.edu), 2024年7月11日参照

2 出典:How Gratitude Combats Depression | Psychology Today, 2024年7月11日参照

感謝を伝えすぎるのは逆効果!感謝するうえで注意したいこと

ここまで、感謝をするためにはどうしたら良いのか、ということについて紹介してきました。しかし、感謝をしすぎるということにも、リスクが含まれていることが分かっています。

1週間に3回くらいまでは問題ありませんが、それ以上だと効果は薄れるだけでなく、疲労感を感じてしまうこともあります。そのため、感謝をする量よりも質を意識することが大切です。

また、誰にでも感謝をすれば良いというものでもありません。自分に精神的・肉体的被害を加える相手に対して、感謝できるところを探そうとすることも、やめるべきだということも分かっています。カップルが喧嘩をしてしまったときに、感謝できるところを探そうとすることも、重大な問題を避けてしまうことに繋がってしまうかもしれません。

さらに、自分に自信がない人は、何かうまくいったことがあっても、「あの人たちのおかげで助かった」というように、自分ではなく周りの人に感謝をする傾向にあります。本当は自分の力で達成したことも、自分の力ではないと思ってしまい、自己肯定感が低くなってしまうことがあります。感謝することも大切ですが、自分の努力を褒めてあげることも重要なのです。

「感謝」と「恩義」も別物です。感謝は、誰かがあなたを助けてくれたときに起こる、ポジティブな感情ですが、恩義は「この前あの人からこれをもらったから返さなきゃいけない」というように、報いなければいけない、返報しなければいけない、という負債感、つまりネガティブな感情なのです。そのため、恩義を感謝と勘違いしないように気を付けましょう。

質の良い感謝のコツとは?相手に喜ばれるプレゼント選び

このように「感謝の質」はとても重要で、良い感謝のコツというのも、さまざまな研究から分かっています。

例えば、感謝しにくい立場の人(偉い役職、上司など)から感謝をする文化を作っていくことや、普段感謝をされにくい立場の人に感謝をしていくことは、お互いにメリットがあります。また、困難なときほど感謝をするように心がけることは、感謝の質を高めるコツだとも言われています。

最近ではLINEギフトのように、手軽に感謝のメッセージをつけて、クーポンや物をプレゼントできる機会が増えていますが、これに関しても面白いことがわかっています。

ある会社の従業員に対して、感謝の気持ちを込めてお金を渡す群、プレゼントを渡す群、プレゼントに値札がついている群、折り紙でコインと紙幣を包む群、というように複数の群にわけて贈り物をしました。すると、お金ではないものをもらった群の方が、その後の従業員のやる気や質が上がったそうです。

また、金銭のプレゼントに関しては、ただ単純にお金をもらうだけでは、喜びやパフォーマンスの向上は見られなかったのですが、折り紙で工夫をして紙幣を包んであげると、お金ではないものをもらったときと同じように、従業員の質がアップしたそうです。

ここでわかるのは、折り紙で紙幣を包むという行為や、相手を思ってプレゼントを贈る、というような、一手間に込められた気持ちが大事だということです。ポンっと送信できるような金銭的なものよりも、相手のためにどれだけの時間をかけたのか、という気持ちが伝わるものの方が、相手のパフォーマンスの向上に効果があります。

また、購買行動に関しても感謝に違いが出ることが分かっています。Amazonのような物を買うことができるストアと、トリップアドバイザーのような旅行という「体験」を買うことができるストアでは、レビュー欄を見てみると、「体験」を買った人の方が感謝が多くみられることがわかります。

「これを買って生活が楽になりました!ありがとうございます!」というようなレビューは少なく、旅行のような体験を買った人の方が、「良い思い出になり、すごく楽しかったです!ありがとうございます!」という感謝の気持ちを伝えるレビューが多いのです。

そのため、大事な人に感謝を伝えるときには、ものだけではなく、遊園地に一緒に行くことや、プチ旅行をプレゼントしてみるなど、体験できるものを加えることで、相手にも喜んでもらいやすくなるのかもしれません。

これは以前「恋愛」の回で紹介したことですが、物をもらったときにどのように感謝をしたら良いのか、ということも重要であることが分かっています。「こんな高いものをありがとう」といったコスト性の感謝の仕方よりも、「これ欲しかった物なんだよね、ありがとう」といった応答性の感謝の仕方のほうが、相手に感謝の気持ちが伝わりやすいと言われています。

また、どうしても感謝しにくい人は、自分が死ぬことを想像してみると、感謝の気持ちが浮かびやすいとも言われています。自分が生きているうちに、感謝できる人に感謝しておこうという気持ちが起こるのかもしれませんね。

まとめ

感謝の気持ちを表現することは、案外難しいものです。特に、仕事上の人間関係では感謝の気持ちが芽生えにくく、金銭的な報酬よりも体験や手間をかけた贈り物の方が効果的です。例えば、感謝の気持ちを込めたプレゼントを贈られた従業員の方が、やる気や仕事の質が向上することが示されています。

また、感謝をしにくい人には、感謝のサービスを利用することが有効です。感謝の質を高めることで、職場や人間関係の改善につなげることができるでしょう。

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次回

次回のコラムでは、『感謝とニューロテクノロジー』についてご紹介します。

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