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ニューロフィードバック

「痩せられる人」と「痩せられない人」の脳の違い/ダイエットとニューロテクノロジーの話

これまで、悪い習慣を良い習慣に変えていくことや、周りの人と協力して取り組みを継続させていくことなど、さまざまなダイエットの効果的な方法をご紹介してきました。 しかしそれでも、長期的なダイエットは容易に達成できるものではありません。そこで今回は、ニューロテクノロジーを使った、ダイエットに効果があるとされている最新技術をご紹介します。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm11/ 痩せられる人と痩せられない人には脳活動の違いがあった! そもそもダイエットに関わる脳の情報処理を理解しないと、話は進められません。アメリカのカリフォルニア州にあるカルテックのグループが、衝撃的な事実を雑誌サイエンスに掲載しました。 彼らはアメリカでダイエット中の、ビッグサイズな人たちを集めてきて、fMRIという脳のスキャナーに被験者を入れました。そこでサラダやスニッカーズなど、低カロリーなものから高カロリーなものまで、食べ物の写真を被験者に見せたところ、「痩せられる人」と「痩せられない人」には脳の違いがあるという事実がわかりました。 私たちの脳には、「目的思考」と「習慣思考」というものがあります。ダイエットには「目的思考」が必要です。「習慣思考」は「カロリーを取れ!スニッカーズを食べろ!」と誘惑してくるのですが、「痩せるためにはサラダを食べないといけないんだ」というように、目的と照らし合わせた思考にしていかなければならないのです。 そこで重要になるのは、dlPFC(Dorsolateral prefrontal cortex=背外側前頭前野)と呼ばれる脳の部位です。痩せられる人たちの脳は、報酬を期待する脳の部位VMPFC(ventro-medial prefrontal cortex=腹内側前頭前皮質)で起こる活動を、dlPFCが止めてくれます。 つまり、頭の中にブレーキのような働きをする脳の部位(dlPFC)があり、「美味しそう!食べたい!!」と思ったときに、そのブレーキが作動する人と作動しない人に分かれるようです。 ダイエットにおいて「過食はやめよう」「カロリー制限をしよう」というように、「目的思考」に脳を変えるためには、dlPFCの活動が必要になる、ということが解明されたのでした。 ニューロフィードバックを使って痩せられる脳を手に入れる! ここまでで、痩せられる脳の仕組みがわかったと思います。では、そのような仕組みを脳に書き込み、自然にこの作用を起こさせることができたらすごいと思いませんか? 1つの方法としては、dlPFCの脳活動を上げる訓練をおこなうことが考えられます。例えば、fMRIに入って「あなたのdlPFCの活動はこういう状態だから、もっと上げなさい」と指示し、美味しそうなドーナツの写真を見ながら訓練をすると、なんとドーナツが食べたくなくなってしまう、という状態にすることが可能です。 また「モチベーショナルニューロフィードバック」という方法もあります。例えば、ハンバーガーの写真を見ながら、dlPFCの活動をうまく起こすことができたら、そのハンバーガーの写真がどんどん遠ざかっていく、というものです。これにより、ハンバーガーを見てもハンバーガーに対する食欲を抑える、ということが学習しやすくなっていき、それによってダイエットが成功していくということがわかっています。 さらに、dlPFCに直接微量の電流を40分ほど流し続けると、ブレーキが作動するという方法もあります。ハイカロリーなものを食べたくなってしまうという脳の情報処理を、ニューロフィードバックで修正することで、逆にサラダや豆腐などを食べたくなるようにしてあげることが可能になります。 訓練をしたり、外部から刺激を与えることによって、食行動が変わり、痩せられるようになる、というのは夢のような話ですよね。カロリーが低くて健康的な食事で、より満足できる脳に変えられることができたら、ダイエットも継続しやすくなるのではないでしょうか。 まとめ ハイカロリーな食品を選ぶか、ローカロリーな食品を選ぶかという食選択は、脳の情報処理によるものです。そのため、ニューロフィードバックを利用することで、健康的な選択を促進できる可能性があります。 私たちの会社VIE でも、ニューロフィードバックを中心とした技術を取り扱っているので、将来的にはダイエットに関連した製品も提供できたらと考えています。 ニューロフィードバックについては、こちらの記事でも紹介しています。 https://mag.viestyle.co.jp/neuro_feedback/ 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/28IWJZQBO3huFB3UdinnBB?si=nmNHdQdzSDeC7C6qjcbl7A 次回 次回のコラムでは、脳科学の研究に基づいた『感謝の力が発揮する力』についてご紹介します。 https://mag.viestyle.co.jp/columm13/

褒め方1つで成績が変わる!?褒められて伸びるかどうかは遺伝子の違い?

効率の良い学習方法や、結果に結びつくのに最適な勉強方法は、常に親も子も模索していると思います。実は「スペース学習」といって、効率の良い勉強方法というものは脳科学的に解明されているのです! 今回は、そのような『勉強の悩みに対する解決策』や、『言語学習とニューロテクノロジーの話』についてご紹介します。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm07/ 同じことをやり続けるのはダメ?効率の良い勉強の仕方! 効率の良い暗記の方法や、勉強の仕方を知りたい人は、大勢いるはずです。個人差はありますが、「声に出しながら文字を書く」というように、マルチモーダルで視覚や聴覚など、あらゆる感覚を研ぎ澄まして覚えていくことは、効率が良いとされています。 また「分散学習」といって、例えば英語の勉強をしたいというときに、ひたすら英語をやるのではなく、途中で数学や古文を挟むなどして、ブロックに分けて取り組むほうが、効率よく勉強できるとも言われています。同じことをやり続けることは、必ずしも効率が良いわけではなく、「スペーシング」「スペース学習」といって、一回やったら間に何か他のことをやる時間を作ることにより、集中力を発揮しながら、効率の良い勉強が期待できます。 褒め方一つで成績が変わる!結果に結びつく褒め方とは? 以前 やる気の引き出し方 で、報酬やご褒美はあまり良いパフォーマンスをもたらさない、ということが示された実験をご紹介しました。しかし、実は悪くないご褒美も中にはあります。 ある実験で、テストで良い結果が出たらご褒美のシールをもらえる群と、テスト勉強をしたらシールをもらえる群に分けたところ、後者の方が明確にテストで良い結果を残したことが分かりました。 どのように頑張れば成績が上がるのか不明確な中で、テストの点がたまたま良かった時に、ご褒美を与えられても、何をしたから良かったのかが分からないままです。 しかし、「インプット・アウトプットアプローチ」といって、勉強をして結果を出す因果関係の中で、その過程を評価することによって、「本を読んだから結果が出せたんだ」「この問題集に取り組めば出来るようになるんだ」というように、成績が上がるための勉強方法が強化されていき、結果としてアウトプットの成績が良くなっていきます。インプットに報酬を与えてやる気を出させれば、しっかりとアウトプットに繋がっていくのです。 日本の親は、子どものテストの点数や結果を褒める傾向にありますが、実はテストの点数が上がりそうなことをしているときに、子どもを褒めてあげるのが、一番良いとされています。 また「褒められて伸びるタイプ」と「叱られて伸びるタイプ」というように、2つに分けて考えることもできます。実際、日本人の8割は「褒められて伸びるタイプ」、2割は「叱られて伸びるタイプ」と答えるそうです。 学習をするときに働く、やる気に関わる「ドーパミンニューロン」には、遺伝的な個人差があります。何か物事がうまくいって、報酬がもらえたときに学習が促進するタイプの遺伝子を持っている人と、失敗をしてしまい、罰が来たときに「もうこんなことはやらない!」というように学習が促進するタイプの遺伝子を持つ人がいて、その割合はおよそ 8:2 だそうです。 このように、脳の中でのドーパミンニューロンのタイプは遺伝的に決まるため、「褒められて伸びるタイプ」であるか、「叱られて伸びるタイプ」であるかには個人差があるのです。 また、先ほどの「インプット・アウトプットアプローチ」とも関わってきますが、「あなたは頭がいいね」というように能力を誉められるのと、「勉強をして偉いね」というように努力を誉められるのとでは、後者の方が良い結果を出した、という実験もあります※。これは勉強だけでなく、「可愛いね」と言われるより、「毎日スキンケア頑張っていて偉いね」と言われる方が、もしかしたら、より嬉しく感じ、「もっと自分磨きを頑張ろう」と思えるようになるかもしれません。 このように、褒め方一つで、結果の良し悪しが変わってくるのです。 ※出典:Praise for intelligence can undermine children's motivation and performance. (apa.org), 2024年7月9日参照 「L」と「R」の違いが聞き取れるように!?語学学習の未来 英語や韓国語などの、日本語以外の語学学習に苦労する人は、たくさんいると思います。自分にとっての第一言語を話す時に、「言語中枢」といって、発話に関する脳の部分が働くのですが、第二言語、第三言語を話すときは、その処理の仕方が少し変わってしまいます。これが、第一言語以外の語学を習得する難しさに繋がっています。しかし、ニューロテクノロジーを活用することで効果的に語学学習をおこなうことができる、ということが分かっています。 例えば、言語に関わるような脳の領域に、電極を貼って電気を流すと、外国語学習や単語の記憶力が促進されるということが分かっています※。 また、言語の聞き取りに関しては、私たちの会社VIE の成瀬さんが開発した技術があります。英語の「L」と「R」は、聞き取ることも、発音することも日本人にとっては困難です。しかし、わずかな違いを脳が感知している様子をリアルタイムで画面に映し出し、ニューロフィードバックを行うことによって、何十年も聞き取れなかった「L」と「R」の違いを、聞き取れるような聴覚経路に脳を再配線してあげることが可能になるのです。 また、最近では語学学習に向いている「性格」がある、ということが言われています。人と話すことが好きな「外交性」や、オープンマインドといった「開放性」のような特性を持っている人は、語学の習得が早いことが分かっています。 ニューロフィードバックについてはこちらの記事でも紹介しています。 https://mag.viestyle.co.jp/columm36/ ※出典:Learning of Foreign Language Sounds Boosted by Non-invasive Nerve Stimulation (scitechdaily.com), 2024年7月9日参照 まとめ 学び方には人それぞれの方法がありますが、その方法が適切でないことも多々あります。一つのことに集中した方がいいと思っていても、実は分散した方がよかったり、やる気の出し方も誉め方一つで変わったりするのです。 また最近では、脳に直接アプローチするような刺激や、ニューロフィードバックの力を使って、第二言語の学習を促進する、夢のような学習技術が実現しつつあります。 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/6wbqS2XZFerTYCPa6QKlFG?si=2-OFlUTFQ-q0Oi-6-0FkCA 次回 次回のコラムでは、『睡眠と学習の関係性』について脳科学的な視点からご紹介します。 https://mag.viestyle.co.jp/columm09/

恋心は脳が生み出す幻想だった?/好きな人と関係性を持続させる方法とは?

人を好きになるという気持ちは、脳の「書き込み」技術によって簡単に操作できてしまうと言われています。 それを利用して好きな人との関係性を持続させることができたり、告白を高確率で成功させることができたり?恋愛とニューロテクノロジーの掛け合わせは、より良い人間関係を築くヒントになるかもしれません。 今回は脳科学の観点から、『好きな人と関係性を持続させる方法』についてご紹介します。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm05/ 人を好きになるのは脳の幻想!?恋愛に応用できるニューロフィードバック ニューロテクノロジーとは、お酒とニューロテクノロジー で紹介したように、脳の情報を「読み取る」ことや、脳に情報を「書き込む」技術のことです。 そして、人を好きになるというのは脳の幻想でもあり、それを証明する次のような実験があります。 Aさんに100人の男性の写真を見せ、10点満点で点数をつけてもらいます。そして好きでも嫌いでもない、中間の5点をつけた男性の後に、緑色の丸い図形の画像を見せます。そこでAさんは「この丸の図形を大きくしてください」と言われます。Aさんには知らせていませんが、実はこの丸い図形は、Aさんが好印象を持った男性を見た時の脳活動が現れると、大きくなる仕組みになっています。 そして、Aさんは5点の男性の写真を見た後に、いろいろなことを考えながら、工夫して丸を大きくする努力をし続けていくと、最初は5点の評価を下した男性に対して、より高い評価をするようになっていきます。 つまり、「書き込み」の技術=ニューロフィードバックにより、人を好きになる気持ちはコントロールできてしまうのです。 そのような観点で言えば、相手の趣味の話などを一緒にすることは、相手が「好き」と感じているフィールドに自分も立つことであり、相手に好印象を持たれやすいのかもしれません。 これをそのまま事業化すると倫理的な問題にも繋がってしまいますが、例えば「幸せ」を感じにくくなってしまった熟年夫婦が、ニューロフィードバックでトレーニングをすることで、出会った頃のような夫婦仲を取り戻す、というようなことが可能になるかもしれませんね。 https://mag.viestyle.co.jp/braintech/ 告白を高確率で成功させるには?感謝の仕方一つで相手に好まれる? 勇気を出して告白をするのであれば、必ず成功させたいものですよね。「確実に告白を成功させる」というような脳科学の研究はまだ進んでいませんが、「お互いを好きになる」というところにヒントはあるかもしれません。 実は感謝をし合う人たちは、お互いを好きになりやすかったり、恋愛が持続しやすかったりすると言われています。そして、感謝の仕方にも気をつけられることがあります。 例えば、プレゼントをもらったときに、「私のためにこんなに高いものをありがとう」「時間をかけて選んでくれてありがとう」というような、コストに対する感謝を述べるのではなく、自分のニーズに応えるプレゼントをしてくれた「応答性」に感謝を述べることが効果的だと言われています。 「これ超欲しかったやつなの!ありがとう!」「ちょうどなくて困っていたんだよね、ありがとう!」というような「応答性」を確認し合えると、お互いを好きになりやすくなる傾向があります。 そのため、相手にプレゼントを贈るときは、相手のニーズをリサーチすることや、反対にプレゼントを受け取るときには、自分のニーズにあっていることを感謝することが効果的であると言えます。 カップルで長く付き合いを続けるために効果的なことは? 付き合う前からも大事なことですが、付き合ってからは、より相手の立場に立つことや、第三者的な視点に立つことは大切です。人間にとって「相手がどういう世界を持っているのか」という考えを持つことは難しく、どうしてもセルフィッシュになりがちです。相手の立場を考えるスキルを持つことはとても重要なことなのです。 カップルの関係性に関して、こんな実験があります。カップルが喧嘩をしたときに、「その喧嘩を第三者が見ると、どのように思うだろうか」「その喧嘩を自分が第三者的な視点で見ようとしたときに、何(感情など)がそれを妨げているか」を考えるトレーニングをしてもらいます。 この実験では、2人の関係性の中で第三者的な視点を持つことを意識すると、カップル同士の関係性がよくなるという結果が出ています。第三者的な視点を持つことは、人間関係の形成に良い結果をもたらすのです※。 しかし、第三者の視点に立つということは、容易なことではありません。そこで、最近ではニューロフィードバックの力を使って、第三者の視点に立つ訓練ができるようにもなっています。 私たちの会社 VIE では、このように「物の見方を変える」トレーニングを行うことによって、人間関係や社会生活がよくなるような事業を行うことができたら面白いと思っています。 ※出典:Finkel et al., 2013: Taking a third party perspective when dealing with marital conflicts improved marital satisfaction among couples over a year (wiseinterventions.org), 2024年7月5日参照 まとめ 恋心は脳の生み出す幻想にすぎないため、ニューロフィードバックで変えることができてしまいます。また、恋愛の形成や維持のためには、相手に感謝をすることや、相手の立場になり、思いやりの心を持つこと、第三者的な視点を持つことが大切です。そのようなトレーニングには、ニューロフィードバックが効果的かもしれません。 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/0sThoyps6GsgPZ7Cxpa9gW?si=ULmLc7_kTpS_4eMlgZr7vw 次回 次回のコラムでは、脳科学の研究に基づいた『こどものやる気を引き出す方法』をご紹介します。 https://mag.viestyle.co.jp/columm07/

お酒とニューロテクノロジーで実現する新しい世界 

ニューロテクノロジーには脳情報を「読み取る」技術と、「書き込む」技術の2つの要素があります。 これらの技術は、自分の好みに合ったお酒を脳波から提案してくれたり、ノンアルコールでも酔ったときと同じような感覚に持っていけたりなど、「お酒」と「脳科学」の新しい世界の可能性を魅せてくれます。 今回は、『お酒とニューロテクノロジーで実現する新しい世界』をテーマに紹介します。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm02/ ニューロテクノロジーとは?「読み取り」と「書き込み」の2つの要素 私たちの会社VIE では、ウェアラブルの脳波計を製作し、さまざまなニューロテクノロジーを用いた事業をおこなっています。 ニューロテクノロジーというのは、私たちの情報処理を担う「脳」をターゲットにし、脳がおこなう情報表現をセンシングして理解したり、ニューロフィードバックという技術を用いて、なりたい脳活動を実現させるトレーニング技術のことを指します。 ニューロテクノロジーには大きく2つの要素があります。1つは脳の情報を「読み取る」技術です。これは、自分がいま見ているものがヒトなのか、空なのかといったことや、右に行きたいのか、左に行きたいのか、というようなことを脳活動から解読する技術のことを指します。 もう1つの要素は、脳に「書き込み」をおこない、脳活動を変えていくという技術です。 例えば、音楽を聴いてリラックスをしている状態の脳活動が挙げられます。外部の技術を駆使して、音楽を聴かなくても、その状態の脳活動を作り上げていく、という技術が「書き込み」にあたります。 好みに合ったビールを脳波をもとに提案 近年、「お酒」と「ニューロテクノロジー」の融合により、新たな技術が期待されています。ここでは私たちの会社 VIE が挑戦してみたい、ニューロテクノロジーを利用した事業をいくつか紹介します。 1つ目は先ほどの「読み取る」技術を利用したものです。 みなさんは複数あるビールメーカーや種類の中で、言葉では表現しにくいけれど、何となくこのビールは口に合う気がする、好みではない気がする、というような感覚を抱いたことはありませんか?そのような脳の情報を記録し、「読み取る」ことで、みなさんの脳とビールをマッチングさせて、「この人ならこの味のビールを好みそう」という提案を行えるようになる技術が研究されています。 VIE が製作しているウェアラブルの脳波計を装着しながら、飲食をしているときの脳状態を記録をすることで、脳科学の観点から、好みに合った食べ物を提案できたら面白いなと考えています。 ノンアルコールで酔っ払うニューロフィードバック 2つ目は「書き込み」の技術を利用したものです。 最近ではソバーキュリアス(Sober Curious)と言って、お酒を飲まない生き方を選択する人が増えています。そのような背景から、お酒を飲まなくても、お酒を飲んでいる人たちと同じように楽しもうとする、ノンアルコールの市場が注目されています。 しかし「お酒」には、 以前 お酒に関する話 で紹介したように、飲むことによって気持ち良くなったり、人付き合いが円滑になったりする効果があります。その力を、アルコールを摂取しなくても表出できるようになったら、面白いと思いませんか? 例えば、Aさんの素面のときの脳波と、酔って気持ちの良いときの脳波を記録しておきます。そして素面のときのAさんに、酔って気持ち良くなっているときの脳波と今の脳波が、どれくらい近いのかを教えてあげます。もちろんAさんは素面のため、最初は酔ったときの脳波とはかけ離れた位置にいますが、脳波を酔ったときと同じ状態まで持っていくように、Aさんに促します。 すると、Aさんが好きなアイドルのことを考えたり、楽しかった飲み会を思い出したりと、脳波を変えるために試行錯誤する中で、Aさんの脳波が酔ったときの脳波に近づいた瞬間が生まれてきます。これを何度も繰り返していくことで、Aさんは「こういうことを考えれば、脳波を近づけられるんだ」と学ぶことができます。 このように自分の脳活動を見て、その脳の活動を自分で変えていくことを、ニューロフィードバックといいます。このスキルがあれば、アルコールを飲まなくても、酔ったときと同じような感覚に近づくことができるので、お酒を飲みすぎることなく楽しい時間を過ごせるのではないかと考えています。  最近の研究※では、アルコールは、快感をもたらす脳の部位(腹側線条体)を活性化し、不安に関わる扁桃体の反応を抑制することが示されています。このような反応を、脳情報を媒体に演出することができたら、それがお酒と同様に未来の嗜好品になっていくかもしれません。 ※出典:Why We Like to Drink: A Functional Magnetic Resonance Imaging Study of the Rewarding and Anxiolytic Effects of Alcohol | Journal of Neuroscience (jneurosci.org), 2024年7月2日参照 脳波についてはこちらの記事でも紹介しています。 https://mag.viestyle.co.jp/eegmeasurement/ まとめ ニューロテクノロジーは、脳の情報を「読み取る」、「書き込む」という2つの要素が中心となっています。「読み取る」技術では、脳活動をモニタリングしながら、好みのお酒をマッチングさせることができたり、「書き込み」技術では、ノンアルコールでもお酒を飲んだときのような心地よい状態に近づけることができたりなど多くの可能性が秘められています。私たち VIE もそのような事業に挑戦していきたいと思っています。 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/4LGjDLc5eyhYy3qLlPdWpA?si=LQ9hYAa8RbS7GsqfYyfaIw 次回 次回のコラムでは、脳科学の視点から『蛙化現象』について深堀りしていきます。 https://mag.viestyle.co.jp/columm04/

「感謝」と「脳科学」で新ビジネス!感謝の効果を引き出すニューロフィードバック

これまで「感謝」と「脳科学」について紹介してきましたが、私たちの会社VIE でも、感謝とビジネスをつなげて、挑戦してみたいことがあります。 感謝にはたくさんのメリットがある一方で、前回も紹介したように、難しさもあります。その難しさの部分を脳でトレーニングして克服できたら、面白いと思いませんか? 今回は、感謝とニューロテクノロジーについて深掘りしていきます。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm14/ 感謝を通して人は変われる!感謝がもたらす良い効果 感謝に関わる脳の研究は、ここ数十年でかなり蓄積してきています。例えば、以前感謝のコツでご紹介した「感謝日記」を数週間続け、その前後で脳の活動を比べた研究があります。 これにより、感謝のトレーニングをしていくことで、感謝ができるようになっていくことが分かっていますが、それだけでなく、向社会的な行動が増えていき、自分だけでなく他人にも貢献する、自分勝手な行動を取らないようになっていく、ということも分かりました※1。 そのような活動の変化とともに、自分がもらう利益に対して脳の報酬系(欲求が満たされたときに発動する神経系)が活動していた人たちが、相手の利益に対して活動するようになっていったそうです。 つまり、自分の幸せに対して喜んでいた人たちが、他人の幸せに対して、幸せを感じることができる人に変わったのです。これは、人は感謝を通して利他的になれるという、とてもポジティブな検証結果を示しています。 しかし、前回も紹介したように、負債の感情は感謝と混同しがちです。そこで、感謝を感じるときと、罪悪感を感じるときの状況を作り、脳活動を測定してみると、実は感謝を感じるときに特有なポジティブな脳活動があることが分かりました。 感謝のときに活動する報酬系には、μオピオイド系と呼ばれる、痛みを和らげたり、幸せなときに活動する部位があります。動物の場合には、毛繕いをするときにこの部位が活動しているとされています。毛繕いをしてあげると、痛みが和らいだり、μオピオイドが増えるそうで、これが人間でいう感謝に近いのではないかとされています※2。 感謝の中枢とも言えるような脳のネットワークがあるのなら、その脳活動を自分で高めていくトレーニングができれば、あまり感謝しにくい組織にいたり、偉い役職についている人でも、感謝できるようになるのではないでしょうか。そうすれば、会社の業績も上がり、チームメンバーの幸福度も上がって、良い利益をもたらしそうですよね。 ※1出典:Gratitude and well-being: A review and theoretical integration - ScienceDirect, 2024年10月2日参照 ※2出典:Frontiers | A Potential Role for mu-Opioids in Mediating the Positive Effects of Gratitude (frontiersin.org), 2024年10月2日参照 感謝とビジネスを繋げるために、VIE が挑戦したいこと 実際に感謝しにくいような、高い役職にいる人たちに、「感謝をしていきましょう!」と促すことは、難しそうです。しかし、ビジネスの世界で感謝というものは、チームパフォーマンスやメンタルヘルスに大きな影響を与えます。 現在、世界の企業では「人的投資」に注目が集まっています。お金を稼ぐだけでなく、従業員みんながハッピーに仕事ができるようにしようという考えが、今後ますます広まっていくでしょう。多くの人が「感謝」の重要性を感じるようになったとき、「感謝」のニューロフィードバックを使ったビジネスは成功する可能性が十分にあるのではないでしょうか。 また、現在興味を持っている分野として、仏教文化の慈悲の瞑想があります。その中にも「感謝の瞑想」というものがあり、これは、身近な人、自分、世界中の人々など、あらゆる人に対して感謝の気持ちを持つという瞑想法です。このような伝統文化とテクノロジーが融合するところにも、面白さがあると思っています。 ニューロフィードバックについては、こちらの記事でも紹介しています。 https://mag.viestyle.co.jp/neuro_feedback/ まとめ 感謝は脳の中で起きるものであり、そのメカニズムはだんだん解明されてきています。ニューロフィードバックの技術を使えば、感謝をしにくい人たちが、感謝をしやすい脳活動を起こせるようになると期待されており、私たちの会社VIE でも、そのようなことに挑戦していきたいと考えています。 そして、ニューロテクノロジーを通して、たくさんの場面で感謝を生み出し、社会に貢献できたらと思います。 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/7gH4qs2Tz6L2uDzpwiN4zr?si=8qHqN50US-qaQnc5miDBGg 次回 次回のコラムでは、日常生活で役立つ『人間の意思決定』に関するお話をご紹介します。 https://mag.viestyle.co.jp/columm16/

ブレインテックを活用したダイエット:革新的なアプローチと成功の秘訣

多くの人が理想の体型を目指し、さまざまなダイエット方法に取り組んでいますが、途中で挫折してしまうことも少なくありません。食欲をコントロールし、ストレスを管理し、モチベーションを維持することは、ダイエットの成功に不可欠です。 そこで登場するのが、最新の脳科学技術「ブレインテック」です。ニューロフィードバックで食欲を調整し、ストレスをリアルタイムでモニタリングするアプリ、そして認知行動療法でポジティブな思考を育むプログラムが、あなたのダイエットを強力にサポートします。 ダイエットの重要性と社会的課題 ダイエットは、単に体重を減らすだけでなく、健康全般にわたる多くの利点があります。心臓病や糖尿病、がんの一部など、肥満や過体重はさまざまな健康リスクを引き起こす可能性があるため、体重を適切に管理することはQOL(生活の質)を保つうえで欠かせません。 しかし、現代社会ではファストフードや運動不足が普及し、肥満率が増加しています。忙しい生活を送る多くの人々が、手軽に食事を済ませるためにファストフードを選びがちです。その結果、高カロリーで栄養バランスの悪い食事が日常化し、肥満の原因となっています。さらに、デスクワークや自動車の利用が一般的になり、日常的な運動量が減少しています。 また、メディアや広告による理想的な体型の押し付けも大きな問題です。特に若者の間では、極端に細い体型を理想とする風潮が広まり、過度なダイエットや摂食障害を引き起こすことが少なくありません。これにより、健康を害するリスクが増加しています。 これらの課題に取り組むためには、個々の努力だけでなく、社会全体での意識改革や取り組みが必要です。ダイエットは外見のためだけでなく、心身の健康を守り、より良い暮らしを実現するための大切な手段です。今こそ、社会全体でその意義を再認識する必要があります。 ダイエットにおけるブレインテックの活用方法 ブレインテック、すなわち脳科学技術の進歩は、ダイエットにも革新的な変化をもたらしています。本セクションでは、ブレインテックがどのようにダイエットに役立つかを具体的な例を挙げて解説します。 ブレインテックについて、基本的な情報が知りたい方は以下の記事も参考にしてください。 https://mag.viestyle.co.jp/braintech/ 食欲コントロールのためのニューロフィードバック ニューロフィードバックは、脳波をモニタリングし、リアルタイムでフィードバックを提供する技術です。この技術をダイエットに応用することで、以下のような効果が期待できます。 食欲の調整:ニューロフィードバックを使用することで、脳の食欲に関与する部分をトレーニングし、過食やストレス食いを減少させることができます。たとえば、特定の脳波パターンが食欲を増進させる場合、そのパターンを変えるトレーニングを行うことで、食欲を抑えることが可能です。 自己コントロールの強化:ユーザーは、自身の脳波の変化を視覚的に確認しながら食欲をコントロールする方法を学ぶことができます。これにより、意識的に食事の選択を改善することができます。 脳波の変化がリアルタイムで視覚的にフィードバックされることで、無意識に働く食欲の調整を、意識的にコントロールするスキルを身につけることが可能になります。この技術は、過食や間食の抑制に特に効果的で、ダイエット成功の一助となります。 ニューロフィードバックについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。 https://mag.viestyle.co.jp/neuro_feedback/ モニタリングアプリでのストレス管理 ダイエットの成功にはストレス管理も欠かせません。ストレスが強くなると過食に走りやすくなり、栄養バランスの取れた食事を選ぶのが難しくなる傾向があります。 ブレインテックを応用したモニタリングアプリは、ストレスの可視化と調整をサポートするツールとして活用できます。以下に、その主な機能をご紹介します。 ストレスレベルのリアルタイムモニタリング:ブレインテックを利用したアプリは、脳波センサーや心拍変動モニターと連動してストレスレベルをリアルタイムで追跡します。 たとえば、イヤホン型の脳波計やヘッドバンド型の脳波センサーを利用して脳波を測定し、心拍変動モニターも併用することで、より正確なストレスの評価が可能になります。これにより、ユーザーは自分のストレスが高まるタイミングを把握し、その状況に応じた適切な対処法をとることが可能になります。 リラクゼーション技術の提案:ユーザーがどの程度のストレスを感じているかをリアルタイムで把握し、ストレスレベルが高まった際には、瞑想や深呼吸などのリラクゼーション技術を提案します。 たとえば、アプリがユーザーのストレスレベルの上昇を検知すると、すぐにリラクゼーションの通知を送り、具体的な方法をガイドします。これにより、ストレスの緩和をサポートしてくれます。 これらの機能により、ブレインテックを活用したモニタリングアプリは、ストレスによる過食を防ぎ、健康的なダイエットを継続するための環境を整えるのに役立ちます。リアルタイムでのデータ追跡と、個別に最適化された対処法の提案によって、ユーザーはストレスをより効果的に管理し、ダイエットの目標達成に近づくことができます。 認知行動療法によるモチベーション向上 ダイエットを成功させるには、モチベーションを持続させることが重要です。認知行動療法(CBT)は、否定的な思考パターンを見直し、行動の改善を促す心理療法であり、ダイエットにおいてもこの手法を活用することで、モチベーションの維持・向上が期待できます。 目標設定と達成のサポート:アプリやデバイスを使用して、具体的なダイエット目標を設定し、その達成に向けた計画を立てると、ユーザーは進捗を視覚的に確認できるため、モチベーションを維持しやすくなります。 ネガティブな思考の再構築:自己否定的な思考や失敗への不安を認識し、それをポジティブな考えに置き換えるトレーニングを行います。たとえば、「私はダイエットに失敗する」という思考を「私はダイエットを続ける力がある」に変えることで、ポジティブな行動変容を促します。これにより、自己効力感が高まり、ダイエットの継続が容易になります。 ブレインテックを活用したアプリは、ユーザーの思考パターンをモニタリングし、リアルタイムでフィードバックを提供することで、認知行動療法(CBT)の効果を最大限に引き出します。これにより、ユーザーはモチベーションを高く保ちながら、ダイエットの成功に向けて継続的に取り組むことができます。 ダイエット×ブレインテックに関する研究論文 ブレインテックの進化に伴い、ダイエット分野におけるその応用に関する研究が近年増加しています。本セクションでは、ニューロフィードバックを活用した食欲コントロールや、マインドフルネス瞑想によるストレス管理と過食の抑制に焦点を当てた研究論文を紹介します。 ニューロフィードバックによる食欲コントロール 「EEGニューロフィードバックによる成人の過食性障害治療」 EEG Neurofeedback in the Treatment of Adults with Binge-Eating Disorder: a Randomized Controlled Pilot Study 内容 この研究は、過食性障害(BED)を持つ成人に対するEEG(脳波)ニューロフィードバックの効果を評価するために実施されました。参加者は食事特化型と一般的なニューロフィードバックの2つのグループにランダムに割り当てられ、6週間の間に10回のトレーニングセッションを受けました。 結果 ニューロフィードバックを受けた人は、過食エピソード(短時間に大量の食べ物を摂取すること)の回数が減少し、その効果は3ヶ月後も続いていました。特に、前頭中央部の特定の脳波活動を調整することで、食欲コントロールが向上することがわかりました。 参考:Schmidt, U., & Martin, A. (2020). EEG Neurofeedback in the Treatment of Adults with Binge-Eating Disorder: a Randomized Controlled Pilot Study. Neurotherapeutics, 17, 543-557.  https://link.springer.com/article/10.1007/s13311-021-01149-9 マインドフルネス瞑想によるストレス管理と過食抑制 「過食抑制におけるマインドフルネスの効果」 Mindfulness-Based Interventions for Binge Eating: A Systematic Review and Meta-Analysis 内容 この研究は、過食行動に対するマインドフルネスベースの介入(MBIs)の効果を評価するために行われました。18件の異なる試験を対象に、マインドフルネスの技法がどのように過食行動の頻度や重症度を減少させるか、またストレスや自己認識にどのように影響を与えるかを調査しました。 結果 研究の結果、マインドフルネスベースの介入は過食行動を有意に減少させることが確認されました。参加者は食事に対するコントロール感が向上し、過食の頻度が減少しました。また、ストレスの軽減や自己認識の改善といった心理的な効果も見られました。これらの結果は、MBIsが過食性障害の治療において有効なアプローチであることを示しています。 参考:Katterman, S. N., Kleinman, B. M., Hood, M. M., Nackers, L. M., & Corsica, J. A. (2014). Mindfulness-Based Interventions for Binge Eating: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Behavioral Medicine, 37(2), 281-293. https://link.springer.com/article/10.1007/s10865-014-9610-5 マインドフルネス瞑想について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 https://mag.viestyle.co.jp/mindfulness/ ブレインテック×ダイエット:ビジネスへの応用 ブレインテックとダイエットの組み合わせは、ヘルステック市場における次なる注目領域として、企業や投資家の関心を集めています。本セクションでは、この分野の市場動向と成功企業の取り組みについて取り上げます。 ブレインテックとダイエットの市場におけるビジネスチャンス ブレインテックとダイエットの市場は、急速に成長しています。特に、以下の分野で大きなビジネスチャンスが存在しています。 パーソナライズドダイエットプラン ブレインテックを利用した個別化されたダイエットプランの提供は、ユーザーの満足度を高める大きなチャンスです。ニューロフィードバックや生体センサーを活用し、個々の脳の反応やストレスレベルをモニタリングすることで、最適なダイエットプランを作成することが可能です。 ストレス管理とウェルビーイングアプリ ストレスが肥満や過食の大きな原因であることから、ストレス管理アプリの需要が高まっています。これらのアプリは、瞑想ガイドやストレスレベルのリアルタイムモニタリングを提供し、ユーザーのメンタルヘルスをサポートしてくれます。 ニューロフィードバックプログラム ニューロフィードバックを活用したダイエットプログラムでは、ユーザーの脳波データに基づいて、個々に最適化された食欲抑制のアプローチが提供されます。これにより、ユーザーは食欲をより効果的にコントロールでき、ダイエットの成功率向上が期待されます。 成功企業の紹介 すでに複数の企業がブレインテックをダイエット分野に応用し、成果を上げています。ここでは、その代表的な事例をご紹介します。 Noom Noomは、心理学的アプローチを用いたパーソナライズドなダイエット支援を行う企業です。アプリでは、食事・運動の記録に加え、CBTに基づいたコーチングを提供し、長期的な行動変容と健康的なライフスタイルの定着を促しています。 Noomの成功は、ユーザーの心理状態をリアルタイムで把握し、それに応じたカスタマイズされたフィードバックを提供する点にあります。個別のコーチングや行動追跡機能も、ユーザーの高い満足度を引き出しています。 参考:https://www.noom.com/ Headspace Headspaceは主に瞑想アプリとして知られていますが、ダイエットと健康管理にも役立つプログラムを提供しています。特に、マインドフルイーティングのセッションを取り入れることで、無意識な食行動を見直し、食に対する意識を高めることを目的としています。 Headspaceは、科学的に裏付けられた瞑想プログラムを提供し、ユーザーがストレスを効果的に管理できるよう支援しています。使いやすいインターフェースと豊富なコンテンツも、ユーザーエンゲージメントを高める要素となっています。 参考:https://www.headspace.com/ 次世代ダイエット戦略:ブレインテックの可能性とビジネスチャンス ブレインテックは、次世代のダイエット戦略として大きな可能性を秘めています。ニューロフィードバックやマインドフルネス瞑想などの技術は、食欲コントロールやストレス管理、モチベーション向上に有効であることが研究で示されており、ビジネスチャンスも豊富です。 すでに成功を収めている企業は、ブレインテックを活用してユーザーの健康習慣を改善し、顧客満足度と市場シェアの拡大を実現しています。今後、ブレインテックのダイエット分野への応用はさらに進み、技術革新とともに新たなビジネスモデルの創出が期待されます。このトレンドをいち早く捉え、革新的なサービスを展開することが、企業にとって次世代のダイエット市場をリードする鍵となるでしょう。

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