TAG

ニューロフィードバック

遅刻してしまう人と5分前行動をする人の脳の違いとは?

発達障害について2回にわたってお話してきましたが、この分野にはまだ解明されていないことが多くあります。 では、実際にどのような点が未解明で、今後どのようなことを解明していく必要があるのでしょうか。今回も引き続き、発達障害をテーマに、その背景や課題を深掘りしていきます。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm26/ 発達障害について解明されていることの現状とは? 発達障害にはまだ多くの未解明な点があり、これが当事者や支援者にとって大きな課題となっています。似た症状を持つ人たちが生きづらさを感じている現状がある一方で、それらの症状がどのようにして生まれ、どんな種類の障害があり、何をすれば改善するのかについては十分に解明されていません。 診断基準に基づき、人との関わり方に問題があり、強いこだわりを持つ場合はASD(自閉スペクトラム症)の特性があるとされ、集中力が続かず授業中に歩き回ってしまう場合はADHD(注意欠如・多動症)の特性があると判断されます。しかし、この診断も一筋縄ではいきません。 例えば、授業中に人の顔の落書きをしてしまう子供について、「注意力が散漫でADHDの気質がある」と解釈する場合もあれば、「人の顔に特別な興味を持つASDの気質がある」と解釈される場合もあります。同じ行動でも判断が分かれるため、発達障害の分類や診断には曖昧さが残ります。 さらに、脳に特徴的なバイオマーカーがあるのかという点についても、いまだ確実な証拠は見つかっていません。「チェックリストに当てはまる人がこの障害」と定義しようとしても、発達障害は複数の特性が併存することが多く、その特有の脳構造を明確にするのは難しい状況です。 薬物療法についても、効果が見られる場合がある一方で、それがどのようなメカニズムで効いているのかは十分に解明されていません。このように、発達障害に関する理解はまだ発展途上にあり、多くの課題が残されています。 治療薬に代わり得るニューロフィードバックとは? 発達障害に関して未解明な点が多い中で、ニューロテクノロジーを活用したアプローチも注目されています。この技術は、従来の薬物療法とは異なり、症状や障害を脳の情報処理の違いとして捉え、それを望ましい方向にトレーニングするという考え方に基づいています。 発達障害の症状や、特異的な脳の情報処理が少しずつ明らかになってきている中、ニューロテクノロジーはこれらにアプローチする可能性を示しています。例えば、ASDにおいては、人の感情を理解することが難しい、表情から感情を読み取ることができないといったコミュニケーションの障害が知られています。このような症状の背景には、脳内の特定のネットワークの機能が関わっていることが分かってきています※。 完全に「治す」ことが目指されるわけではありませんが、ニューロフィードバックや電気刺激を用いることで、コミュニケーション能力に関わる脳の領域を一時的に調整し、人の気持ちを少し理解しやすくしたり、表情を読み取る力を向上させたりすることが可能になる場合があります。これにより、社会性の向上や生活の質の改善が期待されています。 ニューロフィードバックについてはこちらの記事で紹介しています。 https://mag.viestyle.co.jp/neuro_feedback/ また、ADHDに関しては、シータ波やデルタ波といった特定の緩やかな脳波が、定型発達の人と比べて多い傾向があるとされています。このような脳波を調整するニューロフィードバックが提案され、アメリカではFDA(食品医薬品局)によって認可された方法も存在しています。しかし、これが確固たるエビデンスに裏付けられているわけではなく、ADHD特有の脳波パターンが本当に存在するのかについても、まだ議論が続いています。 ニューロテクノロジーは、従来の治療法に代わるものではなく、補完的な手段としての位置づけですが、発達障害の症状への新たな理解や支援の可能性を広げる一歩として、今後の研究と発展が期待されています。 ※出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/36/2/36_219/_pdf?utm_source=chatgpt.com, 2024年12月3日参照 お便りコーナー「遅刻をする人と時間を守る人の脳の違いは?」 Q. 時間を守れる人と守れない人は、脳科学的に何か違いはあるのでしょうか?例えば、次女と主人は5分前行動をするタイプですが、私と長女は時間ギリギリなら良い方で、遅刻気味です。これは性格的な違いなのでしょうか? A.時間を守れる人と守れない人の違いは、性格の違いと言えますが、神経科学や精神医学の視点から見ると、より深い要因が考えられます。 例えば、時間に遅れがちな人にはADHD(注意欠如・多動症)的な傾向があり、5分前行動を好む人にはASD(自閉スペクトラム症)的な特性が見られることがあります。 遅刻気味の人は、多動的でおおらかさがあり、計画がなくても柔軟に物事を進められるタイプであることが多いです。一方、5分前行動を徹底する人は神経質で、段取りやスケジュールにこだわり、それが崩れるとストレスを感じやすい傾向があります。遅刻気味の人は「なぜそんなに急ぐ必要があるの?」と感じることがあり、逆に時間に厳しい人は「どうしてそんなにのんびりしているの?」と不安を覚えることもあります。この違いは、脳の特性や発達的な違いが現れている可能性があります。 遅刻をしやすい行動の背景には、いくつかの要因があります。まず、ADHDの特性として挙げられるのが、衝動性と注意散漫です。行くべき時間を認識していても、直前になって別のことに気を取られてしまうことが多くあります。例えば、服を選び始めたり、ゴミ捨てを思い立ったりして、時間を過ぎてしまうことがあります。また、幼少期の辛い体験やトラウマが影響している場合もあります。虐待などの経験によって自己を切り離す「乖離」という心理状態が生まれると、約束している自分と今の自分の意識が断絶し、遅刻やドタキャンにつながることがあるのです。 さらに、人間関係の不信感も関係していることがあります。信頼できない相手や場所に対する約束を守ることができず、結果的に遅刻やドタキャンが多くなる場合があります。これに加え、幼少期の環境で「時間を守る」「約束を守る」という社会的規範をあまり厳しく教えられていなかった場合、時間を守ることに対する意識が薄いことも考えられます。 このように、時間を守る行動ひとつをとっても、背後には性格だけではなく、発達特性、過去の経験、育った環境が複雑に絡み合っています。遅刻しやすい人や時間に厳しい人の行動を単なる性格の問題と片付けるのではなく、その背景を理解することで、より良い関係性を築いていくことができるでしょう。 まとめ 発達障害に対するニューロテクノロジーの活用には、既存の薬物療法とは異なる可能性が期待されています。例えば、ASDにおけるコミュニケーションの障害や、ADHDにおける衝動性といった症状について、それらを引き起こしている脳の情報処理を特定し、そのサーキットに働きかけることで改善を図る試みが進んでいます。 ニューロフィードバックのエビデンスは近年増加しており、これまでの薬物療法に代わる新たな介入方法として期待されています。「病気として治療すべきか」という議論は別としても、具体的な困りごとを軽減する手段として、この技術には希望を感じる部分があると言えるでしょう。 しかし、この分野には注意が必要です。科学的な根拠が乏しいニューロフィードバックや怪しい主張が出回る可能性もあります。「脳波を測れば発達障害がわかる!」「アルファ波を増やせば自閉症が治る!」といった宣伝に飛びつきたくなる気持ちも理解できますが、必ずしもそれらに十分なエビデンスがあるわけではありません。慎重な判断が求められます。 それでも、この分野は多くの可能性を秘めており、発達障害を持つ人々の生活をより良くするための道筋を示してくれています。みなさん自身がこの分野の当事者であり、どのような介入やテクノロジーを活用すればお互いが生きやすい社会を築けるのか、一緒に考え、前に進んでいきましょう。 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/50XcJtTBXjwL2idGpMjqPV?si=9Mo01NmqTSabe0YOEgAfew 次回 次回のコラムでは、脳科学的に『恋愛に効果的な食べ物』をご紹介します。 https://mag.viestyle.co.jp/columm28

脳波で変わる日常生活!アルファ波(α波)の科学的効果とは

現代社会では、ストレスや疲労、集中力の低下に悩む人が増えています。そんな中、注目されているのが脳波の一種である「アルファ波」です。リラックスしているときや、穏やかな集中状態にあるときに発生するアルファ波は、心身を整え、ストレス軽減や集中力向上をサポートしてくれる脳波として知られています。 本記事では、アルファ波とは何か、その驚くべき効果、さらに日常生活で手軽にアルファ波を増やす方法をご紹介します。瞑想や音楽、運動など、忙しい毎日に取り入れられるアイデアを通じて、より充実した日々を実現してみませんか?アルファ波の力を活用し、心身のリフレッシュを目指しましょう。 アルファ波とは?脳をリラックスさせる秘密 アルファ波とは、私たちの脳がリラックスしているときに優勢になる脳波の一種です。脳波は周波数によって分類されており、アルファ波は8~13Hzの範囲に該当します。この周波数帯域は、目を閉じてリラックスしているときや、集中しすぎず適度に落ち着いている状態で観測されることが多いです。 特に、ストレスや疲労を感じる現代人にとって、アルファ波は「心と体を整えるシグナル」として注目されています。そのため、瞑想、深呼吸、特定の音楽などを通じてアルファ波を増やす試みが、科学的にも実践的にも広がっています。 アルファ波が脳に与える影響 脳波は周波数ごとに異なる状態や役割を持ちます。主な脳波は以下の通りです: デルタ波0.5~4Hz深い眠りや無意識状態で現れる。身体の回復や脳の修復に関与。シータ波4~8Hz眠りに入る直前や深い瞑想状態で優勢。創造性や直感力に関与。アルファ波8~13Hzリラックス状態や軽い集中で観測。ストレス軽減に役立つ。ベータ波13~30Hz高い集中や警戒状態で優勢。過剰になると不安やストレスの原因に。ガンマ波30Hz以上複雑な問題解決や学習時に観測。脳の全体的な活動を統合。 アルファ波は、ベータ波とシータ波の中間に位置し、心地よいバランスを保つための「架け橋」のような役割を果たします。 アルファ波が低下し、他の周波数(特にベータ波)が優勢になると、以下のような状態に陥ることがあります: ・過剰なストレス: ベータ波は集中力や警戒心と関連しますが、過剰になると過緊張状態に。 ・不眠や疲労感:リラックスが不足し、脳が休まらないまま活動し続ける。 ・焦燥感や不安感: ベータ波が優勢になると、気持ちが高ぶり、落ち着きを失うことがあります。 逆に、アルファ波が優勢なときは心が安定し、リラックス状態に近づきます。このため、意識的にアルファ波を増やすことが、精神的な健康をサポートすると考えられています。 アルファ波以外の脳波については以下の記事をご参照ください。 https://mag.viestyle.co.jp/eeg-business/ アルファ波を増やすメリット 「アルファ波」と聞くと、少し専門的で難しい印象を持つかもしれませんが、実は私たちの日常生活に密接に関係しています。アルファ波を増やすことで、ストレス軽減や集中力向上など、心身にさまざまな良い効果をもたらしているのです。ここでは、その具体的なメリットについて詳しく見ていきます。 ストレスの軽減 アルファ波は、心を落ち着かせるリラックス効果と関連しています。ストレスがたまると脳はベータ波優勢の状態になり、緊張や焦燥感を感じやすくなりますが、アルファ波が優勢になることで以下のような効果が期待できます: ・心拍数や血圧が安定し、リラックスしやすい状態になる ・感情の安定や不安感の緩和 ・ストレスホルモンであるコルチゾールの低下 後ほど「アルファ波を増やす方法」で詳しく解説しますが、例えば、瞑想や深呼吸、リラックス音楽を取り入れるだけで、自然とアルファ波を増やし、ストレスを軽減することが可能です。 集中力と創造性の向上 適度なアルファ波が優勢である状態は、過剰な緊張を抑えつつ、頭の回転をスムーズにしてくれます。多くの方がアルファ波と聞くとリラックスを想像するのは、この状態が心身のバランスを整え、自然な落ち着きをもたらすからです。その結果以下の効果が期待できます: ・思考がクリアになり、集中力が高まる ・新しいアイデアが生まれやすくなる クリエイティブな作業をする際や、学習時の効率を高めるために、例えば、自然音を聞きながら作業することで、集中力が持続しやすくなります。 睡眠の質向上 良質な睡眠には、リラックスした心身の状態が不可欠です。アルファ波は、次のような睡眠改善効果をもたらします: ・就寝前の緊張を和らげ、スムーズな入眠をサポート ・睡眠中の深い眠り(デルタ波状態)に移行しやすくする 寝る前に瞑想や深呼吸、穏やかな音楽を聞くことでアルファ波を増やし、より良い睡眠を得る手助けとなります。 免疫力の向上 アルファ波は、ストレス軽減を通じて免疫系にもポジティブな影響を与えます。リラックスすることで副交感神経が活性化し、以下のような効果が期待できます: ・自然免疫(NK細胞)の活性化 ・ストレスによる免疫力低下を防ぐ ・身体の回復力を高める 特に長期的なストレスが続くと免疫力が低下し、風邪や病気にかかりやすくなるため、アルファ波を増やす取り組みは健康維持にも役立ちます。 アルファ波を増やす方法・ツールを紹介 アルファ波を意識的に増やすことで、リラックスや集中力向上といった多くのメリットを享受できます。ここでは、簡単に実践できる方法や役立つツールを具体的にご紹介します。 瞑想や呼吸法 瞑想や深い呼吸は、脳波をアルファ波優勢の状態に効果的な方法の一つです。瞑想中は高まったベータ波(緊張状態を示す脳波)が低下し、脳がリラックスモードに移行します。また、呼吸法を組み合わせることで、その効果がさらに高まります。 特に「4-7-8呼吸法」や「腹式呼吸」は副交感神経を刺激し、心拍数や血圧を安定させる効果があります。短い時間でも定期的に実践することで、日常的にアルファ波を増やし、ストレスや不安を軽減することが可能です。 瞑想は初心者にとってハードルが高く感じられることもありますが、初心者でも始めやすい瞑想アプリを活用することで、その効果を手軽に実感できます。以下のアプリはガイド付きセッションやタイマー機能を備えており、具体的な方法を学びながらリラックスした状態に導いてくれます。  以下より、瞑想に役立つアプリを紹介します。 Headspace Headspaceは瞑想やマインドフルネスのガイドを提供する人気のアプリで、ストレス軽減や睡眠改善をサポートします。直感的で初心者に優しい設計と、科学的根拠に基づいた多彩なコンテンツがHeadspaceの魅力です。 公式サイト:https://www.headspace.com/ Calm Calmは瞑想や睡眠、リラクゼーションをサポートする世界的に人気の高いアプリで、初心者から上級者まで幅広く利用されています。 高品質な音声コンテンツや自然音、著名人によるナレーションが揃い、深いリラクゼーション体験を提供する点がCalmの魅力です。 公式サイト:https://www.calm.com/ja Insight Timer Insight Timerは、世界中の専門家が提供する数千種類のガイド付き瞑想や音楽を無料で利用できるアプリです。豊富な無料コンテンツが揃い、自分に合った方法で瞑想を楽しめる自由度の高さが魅力です。 公式サイト:https://insighttimer.com/ その他、瞑想についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。 https://mag.viestyle.co.jp/meditation/ 音楽や自然音の利用 音楽や自然音を聞くことは、アルファ波を増やす上で非常に効果的な方法です。特に、バイノーラルビートや特定の周波数を含む音楽は、脳波をアルファ波に誘導することが科学的に示されています。また、自然音(川のせせらぎ、鳥のさえずり、雨音など)は心地よいリラックス感をもたらし、ストレスを軽減します。 VIE Tunes VIE Tunes(ヴィーチューンズ)は、脳波に働きかけるニューロミュージックを提供する音楽アプリです。ユーザーの「なりたい状態」に合わせて脳をととのえ、独自の音楽体験を楽しめる点が特徴です。 公式サイト:https://lp.vie.style/vie-tunes VIE Tunes Pro VIE Tunes Proは、イヤホン型脳波計「VIE Zone」や「VIE Chill」と連携し、ユーザーの脳波を解析してAIモデルを生成する音楽アプリです。仕事、瞑想、ヨガ、サウナ、睡眠といったさまざまなシーンにおいて脳状態を数値化し、パーソナライズされたニューロミュージックで最適な脳の状態をサポートします。 公式サイト:https://vie.style/pages/vie-tunes-pro 運動やヨガの実践 運動やヨガは、心と体の両方を整え、アルファ波を自然に増やす方法として人気があります。適度な運動は、ストレスホルモンであるコルチゾールを減少させるだけでなく、セロトニンやエンドルフィンといった「幸せホルモン」を分泌し、リラックス効果を高めます。 またヨガは、呼吸法とポーズの組み合わせにより、アルファ波優勢の状態を促進します。ヨガの基本ポーズである「シャバーサナ(死体のポーズ)」や「チャイルドポーズ」など、リラックスを目的としたポーズを中心に行うことで、脳が落ち着きを取り戻します。ヨガは忙しい生活の中でも短時間で実践できる点が魅力です。 アロマセラピー アロマセラピーは、嗅覚を通じて脳に直接働きかけ、リラックスをもたらす自然療法です。特に、ラベンダーやイランイラン、サンダルウッドなどの香りは、副交感神経を活性化し、アルファ波を増加させる効果があります。 香りを吸入することで、脳内のストレスホルモンを減少させるだけでなく、気分を落ち着かせる作用が科学的に裏付けられています(1)。ディフューザーやアロマスプレーを使うことで、自宅や職場でも手軽に取り入れることが可能です。また、バスソルトやマッサージオイルと組み合わせると、さらに深いリラクゼーションが得られます。 (1)参考:https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/0824.html?utm_source=chatgpt.com 温浴(入浴や足湯) 温浴は、体を温めることで血流を促進し、心身の緊張をほぐす効果があります。副交感神経が優位になることでアルファ波が増加し、リラックスした状態を作り出すことが可能です。特に38~40度のぬるめのお湯に10~15分ほど浸かることで、心拍数が落ち着き、ストレスの軽減に繋がります。 また、足湯は忙しい日常でも簡単に取り入れることができ、疲労回復とリラックス効果が期待できます。バスソルトや入浴剤を活用すると、リラクゼーション効果がさらに高まります。入浴後には睡眠の質も向上するため、夜の習慣として特におすすめです。 日光浴 日光浴は、アルファ波を増やすだけでなく、体内リズムを整える効果もあります。太陽光を浴びることで、セロトニンの分泌が促進され、脳がリラックスした状態に切り替わるのです。また、日光浴はストレスを緩和し、気分を安定させる効果があり、短時間でも健康維持に役立ちます。 朝の時間帯に15~30分程度日光を浴びると、体内時計がリセットされ、夜の睡眠の質も向上します。特にオフィスワークや屋内で過ごす時間が多い方には、積極的に取り入れることが推奨されています。 デジタルデトックス 長時間のスマートフォンやPCの使用は、脳を常に刺激し、アルファ波が減少する原因となります。デジタルデトックスは、こうしたデジタル機器から意識的に離れる時間を作り出し、脳をリフレッシュさせる方法です。自然やアナログな趣味に触れることで、心身がリラックスし、アルファ波優勢の状態を取り戻すことができます。 Forest Forestは、スマートフォンから離れて集中したいときに、設定した時間スマホを触らずに過ごすことで、仮想の木を育てることができるアプリです。設定した時間スマホに触らずに過ごすことができれば、植えた木の苗は立派な木へと成長し、逆に我慢できずにスマホを触ってしまうと、葉っぱが枯れた木になるという仕組みです。 公式サイト:https://www.forestapp.cc/ Offtime Offtimeは、特定の時間帯に特定の人やグループからの連絡のみを許可し、その他の通知や着信をブロックすることで、仕事や勉強に集中できる環境を提供するアプリです。Offtimeは、通知や着信の制御を細かくカスタマイズでき、集中したい時間をしっかりサポートする高い柔軟性が魅力です。 アプリサイト:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.ascent&hl=ja アルファ波に関する最新の研究 アルファ波は、リラクゼーションや注意力向上に深く関与する脳波として、多くの研究者から注目を集めています。以下、最新の研究成果を紹介します。 アルファ波を増強するニューロフィードバックトレーニングの効果 2021年にGrosselinらが行った研究では、12週間にわたるニューロフィードバックトレーニング(NFT)の効果を健康な成人を対象に調査しました。特に、リラクゼーションや集中力に関連するアルファ波の増強に注目しています。 研究対象は、被験者を「NFグループ」と「対照グループ」の2つに分け、トレーニングを行いました。NFグループは、自分の脳波に基づいて音量が調整されるリアルタイムフィードバックを受ける一方、対照グループはランダムに生成された音声フィードバックを受けました。 主な結果: アルファ波の増加:NFグループでは、トレーニング期間を通じてアルファ波(8~12Hz)が増加し、脳波を意識的に調整する能力が向上しました。 対照グループとの比較:対照グループではこうした変化は確認されませんでした。 リラックス感と不安の軽減:両グループの被験者がリラックス感の向上や不安の軽減を報告しました。 結論: この研究は、ニューロフィードバックトレーニングが脳波を調整する能力を高め、リラクゼーションやストレス軽減に寄与する可能性を示しています。 Grosselin, F., Breton, A., Yahia-Cherif, L., Wang, X., Spinelli, G., Hugueville, L., Fossati, P., Attal, Y., Navarro-Sune, X., Chavez, M., & George, N. (2021). Alpha activity neuromodulation induced by individual alpha-based neurofeedback learning in ecological context: A double-blind randomized study. Scientific Reports, 11, Article 18738. ニューロフィードバックに関する詳細はこちらの記事も参照ください。 https://mag.viestyle.co.jp/neuro_feedback/ マインドフルネス瞑想とアルファ波増強の関係 2023年に深圳大学が行った研究では、8週間にわたるマインドフルネスストレス低減(MBSR)プログラムを通じて、瞑想中と安静時の脳波活動の変化を調べました。特に、リラクゼーションや集中力と関係が深いアルファ波の増加に注目しています。 研究の対象は、MBSR初心者である男女11名です。脳波測定(EEG)は、訓練の初期段階(1~2週目)と後期段階(9~12週目)の2回行われました。瞑想セッションでは、被験者はマインドフルネス呼吸法を実践し、その結果を安静時と比較して分析しました。 主な結果: アルファ波とベータ波の増加:瞑想を続けることで、アルファ波(8~12Hz)とベータ波(13~30Hz)が顕著に増強しました。これらの変化は、特に後頭葉や前頭葉で顕著に観察されました。 脳波の安定化:トレーニングが進むにつれて、これらの周波数帯の変化が安定し、瞑想の熟練度と関係があることがわかりました。 デルタ波の減少:低周波であるデルタ波(1~4Hz)が減少し、リラクゼーションや集中力が向上している可能性が示されました。 さらに、深層学習と機械学習を用いて、瞑想状態と安静状態の脳波を分類する技術が評価されました。その結果、MBSRトレーニングで得られた脳波パターンが瞑想状態の特徴として正確に識別されることがわかりました。 結論: この研究は、短期間の瞑想トレーニングがアルファ波を増強し、リラクゼーションやストレス軽減に役立つ可能性を示しています。これにより、瞑想が脳の活動にポジティブな変化をもたらす科学的根拠が提供されました。 Shang, B., Duan, F., Fu, R., Gao, J., Sik, H., Meng, X., & Chang, C. (2023). EEG-based investigation of effects of mindfulness meditation training on state and trait by deep learning and traditional machine learning. Frontiers in Human Neuroscience, 17:1033420.  論文リンク:https://doi.org/10.3389/fnhum.2023.1033420 アルファ波の調整による睡眠の質改善効果 2022年にBresslerらが行った研究では、ウェアラブルEEGデバイスを用いた閉ループ神経調節技術が、睡眠の質改善に与える効果を調査しました。特に、アルファ波(8~12Hz)の活動を調整することで、睡眠導入時間や質の向上に注目しています。 研究対象は、日常的な環境で睡眠を取る健康な成人および不眠症状を持つ被験者です。以下の3条件で実験が行われました: ・音声刺激なし ・アルファ波のピーク位相に同期した聴覚刺激 ・アルファ波の谷位相に同期した聴覚刺激 主な結果: 睡眠導入時間の短縮:アルファ波ピーク時の刺激により、不眠症状を持つ被験者の睡眠導入時間が平均20分短縮されました。 非薬理学的アプローチの有効性:閉ループ神経調節が薬に頼らず睡眠改善を実現できる可能性を示しました。 ウェアラブルデバイスの利便性:自宅での睡眠データ収集が可能で、個別化治療の実現を後押しします。 結論: アルファ波に基づく神経調節技術は、不眠症や睡眠障害の治療における革新的な手法となり得ることが示されました。 Bressler, S., Neely, R., Read, H., Yost, R., & Wang, D. (2022). A Wearable EEG System for Closed-Loop Neuromodulation of High-Frequency Sleep-Related Oscillations. arXiv preprint arXiv:2212.11273.  論文リンク:https://arxiv.org/abs/2212.11273 ビジネスにおけるブレインテックの活用事例10選 ブレインテックがビジネスでどのように活用されているのかを示す、10の企業事例をまとめた資料をご用意しました。無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。 資料をダウンロードはこちら アルファ波を日常生活に取り入れよう アルファ波を意識的に生活に取り入れることで、心身の健康を整え、ストレスの軽減や集中力向上を図ることができます。アルファ波はリラックスした状態で発生し、瞑想や深呼吸、好きな音楽を聴くことで効果的に活性化できます。また、自然の中で過ごすことやヨガ、ストレッチといった軽い運動もアルファ波の増加に役立ちます。 これらを日々の生活習慣に取り入れることで、心身のバランスを整え、より充実した生活を送ることが可能です。ぜひ、自分に合った方法を見つけ、アルファ波を活用してみましょう。

ウェルビーイング経営の新潮流:脳科学とテクノロジーで実現する社員の幸福と企業成長

従業員一人ひとりの心身の健康と幸福(ウェルビーイング)を組織の成長エンジンと捉える「ウェルビーイング経営」。今、多くの企業がこの新しい経営スタイルに注目しています。特に、リモートワークの普及や働き方の多様化が進む現代において、メンタルヘルスケアやストレス対策の重要性はかつてないほど高まっています。 本記事では、ウェルビーイング経営の基本的な考え方から、その重要性が増している社会的背景、さらには脳科学やAIといった最新テクノロジーを活用した先進的な取り組みまでを深掘りします。具体的な企業事例を交えながら、従業員のエンゲージメントと企業の持続的成長を両立させるウェルビーイング経営の魅力と可能性に迫ります。 ウェルビーイング経営とは?社員の幸福が企業成長の鍵 まず、「ウェルビーイング経営」が具体的に何を指し、なぜ現代の企業経営において重要視されているのか、その基本的な概念と背景について理解を深めましょう。 ウェルビーイング経営の基本概念と人的資本経営との関連 ウェルビーイング経営とは、従業員が身体的、精神的、社会的に良好な状態(ウェルビーイング)でいられるよう、企業が戦略的に支援し、それを通じて組織全体の活性化、生産性向上、そして持続的な企業成長を目指す経営アプローチです。 近年注目される「人的資本経営」において、従業員は単なる「資源(リソース)」ではなく、価値創造の源泉である「資本(キャピタル)」として捉えられます。この文脈において、従業員のウェルビーイングは、その資本価値を最大化し、維持・向上させるための不可欠な要素として位置づけられています。つまり、ウェルビーイング経営は人的資本経営を具体的に推進する上での重要な柱の一つと言えるでしょう。 国内外のウェルビーイング市場について知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。 https://mag.viestyle.co.jp/well-being-market-landscape/ 従業員の心身の健康が企業パフォーマンスに与える影響 従業員の心身の健康状態は、企業のパフォーマンスに直接的な影響を及ぼします。経済産業省の資料(※1)でも指摘されているように、従業員が健康であれば、仕事への集中力や意欲が高まり、創造性や問題解決能力も向上します。 特にメンタルヘルスが安定している状態では、職場内のコミュニケーションが円滑になり、チームワークが醸成されやすくなるため、組織全体の生産性向上に繋がります。逆に、健康状態が悪化すると、欠勤率の上昇、生産性の低下(プレゼンティーイズム)、さらには離職リスクの増大といった形で、企業経営にマイナスの影響を与えかねません。 (※1)健康経営の推進について - 経済産業省:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf なぜ今、ウェルビーイング経営が企業に不可欠なのか? 現代社会において、企業がウェルビーイング経営に取り組む必要性はますます高まっています。その背景には、働き方の変化や従業員が抱える課題の複雑化があります。 働き方改革とコロナ禍が加速させた「個」の課題 働き方改革の推進や、コロナ禍を契機としたリモートワーク、ハイブリッドワークの急速な普及は、従業員の働き方に大きな変化をもたらしました。通勤時間の削減や柔軟な時間活用といったメリットがある一方で、コミュニケーションの希薄化、仕事とプライベートの境界の曖昧化、孤独感の増大といった新たな課題も生まれています。 これにより、従業員一人ひとりが抱えるストレスや心身の不調が顕在化しやすくなっています。 リモートワーク時代のメンタルヘルス問題と生産性への影響 リモートワーク環境下では、従業員自身による高度な自己管理能力が求められます。業務の進捗管理やパフォーマンス維持に対するプレッシャー、対面での気軽な相談機会の減少、オンオフの切り替えの難しさなどから、メンタルヘルスに不調をきたすケースが増加傾向にあります。 このような状態は、集中力の低下、モチベーションの減退を招き、結果として個人および組織全体の生産性に悪影響を及ぼします。 メンタル不調が企業経営に与えるリスクとその対策の重要性 従業員のメンタルヘルス不調は、個人の問題に留まらず、企業経営における重大なリスクとなり得ます。欠勤や長期休職による人材不足、医療コストの増加、職場全体の士気低下、さらには優秀な人材の離職といった事態を招きかねません。 そのため、企業はこれらのリスクを未然に防ぎ、軽減するために、メンタルヘルス対策を積極的に講じることが不可欠です。従来のカウンセリングサービスや相談窓口の設置に加え、近年ではAIや脳科学などの最新テクノロジーを活用し、よりパーソナライズされた効果的なウェルビーイング支援を提供する動きが活発化しています。 【最新トレンド】脳科学とテクノロジーを活用したウェルビーイング施策 ウェルビーイング経営の進化において、脳科学の知見と先端テクノロジーの融合は、従業員のメンタルヘルスケアやパフォーマンス向上に新たな可能性をもたらしています。ここでは、その具体的な例をいくつかご紹介します。 EEG(脳波)データで見える化するメンタルヘルスと集中状態 EEG(Electroencephalography:脳波計測)は、脳の電気的な活動を記録する技術です。この技術を活用することで、従業員のストレスレベル、集中度、リラックス度といったメンタル状態を客観的なデータとして「見える化」できます。 例えば、脳波パターンからストレスの高まりが検知されれば、適切なタイミングで休憩を促すアラートを出したり、リラクゼーションコンテンツを推奨したりすることが可能です。従業員自身も自らの脳の状態を把握することで、セルフケア意識の向上や早期対処に繋がります。 EEGについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。 https://mag.viestyle.co.jp/eegmeasurement/ ニューロフィードバックによる脳の自己調整力トレーニング ニューロフィードバックは、リアルタイムで計測した自身の脳波データ(主にEEG)を基に、特定の脳活動を意識的にコントロールする力を養うトレーニング手法です。 例えば、リラックスしたい時にはリラックス状態に対応する脳波パターンを、集中したい時には集中状態に対応する脳波パターンを目標とし、その状態に近づけるよう脳を訓練します。 これにより、ストレス下でも冷静さを保つ、あるいは必要な時に高い集中力を発揮するといった、脳の自己調整能力を高める効果が期待されています。 ニューロフィードバックについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。 https://mag.viestyle.co.jp/neuro_feedback/ 脳科学的アプローチがもたらす具体的なウェルビーイング効果 マインドフルネス瞑想や特定の音楽刺激など、脳科学的エビデンスに基づいたアプローチは、ストレス軽減、集中力向上、睡眠の質の改善といった具体的なウェルビーイング効果をもたらすことが示されています。 最近では、こうした脳科学の知見を活かした製品やサービスも登場しています。例えば、個室型ブース「VIE Pod」は、脳波に働きかける特殊な音楽(ニューロミュージック)を組み合わせることで、利用者が短時間で集中状態やリラックス状態に入りやすい環境を提供します。 これにより、オフィスにいながら手軽に心身のコンディションを整え、生産性向上とウェルビーイング向上を両立させることを目指しています。 VIE PODについて詳しく知りたい方は、以下のリンクをご参照ください。 https://lp.vie.style/vie-pod 最新技術を活用したウェルビーイングの企業事例 本セクションでは、実際に先進的な取り組みを行っている企業の事例をご紹介します。 マイクロソフト「MyAnalytics」 MyAnalyticsは、従業員の勤務時間、集中して作業できた時間、会議への参加時間、さらには休息やリフレッシュに充てた時間などをデータとして収集・分析します。このデータをもとに、従業員は自分の働き方の傾向を把握し、改善点を見つけることが可能です。 特に注目されるのは、従業員が無意識のうちに長時間労働に陥らないよう、適切な休息のタイミングやリフレッシュの必要性をアラートで知らせる機能です。これにより、従業員は過労を未然に防ぎ、心身の健康を維持しながら生産性を高めることができます。マイクロソフトのこの取り組みは、テクノロジーを活用して従業員が主体的に健康を管理できるよう支援する好例と言えるでしょう。 MyAnalyticsについて https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/blog/2019/01/02/myanalytics-the-fitness-tracker-for-work-is-now-more-broadly-available/ ロート製薬「健康社内通貨:ARUCO」 ロート製薬株式会社は、従業員の心身の健康向上を支援するため、健康社内通貨「ARUCO」を導入しています。この取り組みでは、日々の歩数や非喫煙などの健康活動に応じて「ARUCO」が付与され、ヘルシーランチの購入やリラクゼーション施設の利用、特別休暇の取得などに活用可能です。 従業員は楽しみながら健康的な生活習慣を築ける仕組みとなっており、企業全体のウェルビーイング向上を促進しています。ロート製薬の健康重視の経営方針は、従業員の満足度や生産性向上につながる、革新的なウェルビーイング経営の一例です。 健康社内通貨「ARUCO」について https://www.rohto.co.jp/news/release/2019/0207_01/ 味の素株式会社「味の素流セルフ・ケア」 味の素株式会社は、「従業員のウェルビーイングは人財資産の強化を支える基盤」として、多角的な施策を展開しています。その中心となるのが、従業員が主体的に取り組む「味の素流セルフ・ケア」です。従業員は自分の健康データをポータルサイトで確認し、健康改善を促進するアプリを活用。 さらに、健康診断結果をもとにした「健診戦」では、改善状況の順位づけや表彰を行い、健康意識を高めています。健康診断や個別面談といった基盤的施策と併せ、「持続可能なエンゲージメント・ウェルビーイング」を指標とし、すべての従業員が働きがいを感じる職場の実現を目指しています。この包括的な取り組みは、従業員と企業の成長を支える基盤となっています。 味の素流セルフ・ケアについて https://park.ajinomoto.co.jp/special/wellbeing/ ウェルビーイング経営の未来 ウェルビーイング経営は、単なるトレンドではなく、持続可能な企業運営を実現するための重要な要素として定着しつつあります。従業員の心身の健康を支援し、働きやすい環境を整えることは、企業の競争力を高め、長期的な成長を促進するために欠かせない戦略です。特に、テクノロジーや脳科学の進展により、個々の従業員に合わせたパーソナライズドなサポートが可能になり、ウェルビーイング経営の効果を一層高めています。 ウェルビーイング経営の未来は、よりパーソナライズドで予防的なサポートが主流になると考えられます。従業員の健康状態をリアルタイムでモニタリングし、適切なタイミングでサポートを提供することで、心身の不調を未然に防ぐ仕組みが進化していくでしょう。また、働く場所や時間に縛られない柔軟な働き方の普及により、ウェルビーイング経営の実践はさらに広がりを見せるはずです。 企業がウェルビーイング経営を真剣に取り組むことで、従業員と組織の双方が活力を得て、より強固な成長基盤を築くことができるでしょう。ウェルビーイング経営は、健康的で幸福な社会の実現に向けた第一歩とも言えます。

朝型と夜型はどっちがいいの?平日の日本人は時差ボケ状態にある!?

「学習」というテーマで、パフォーマンスを向上させるためには睡眠が重要であると学びました。しかし、緊張する試験を控えていたり、楽しみなイベントがあると、なかなか眠れないという方もいるのではないでしょうか。 実は、睡眠に効果的な食べ物や飲み物があったり、ニューロフィードバックの介入を通して、睡眠の質を高めるなど、現在さまざまな技術が生み出されています。そこで、今回は「睡眠」について深掘りしていこうと思います。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm21/ 電車で居眠りをする日本人を見た海外の人の驚きの反応は? 日本ではバスや電車の中で、居眠りをしている人をたくさん見かけますよね。しかし、ヨーロッパでは、そのような公共の場で眠っていると「体調が悪い」と見られてしまうそうです。実際、海外の友人に「移動の電車で多くの人が眠っているけれど、日本人はみんなナルコレプシーなのか?」と聞かれたことがあります。 ナルコレプシーとは、十分な睡眠をとっていても、日中に眠気が襲ってきて、自分でも制御できずに眠ってしまう症状のことです。きっと日本では、電車で眠っていても、物を盗られたり、襲われたりする危険が少ないから、安心して眠れてしまう、という文化の違いだと思います。 しかし、日本には睡眠不足の人が多いのではないかという考え方もあります。睡眠が不足していると、日中帯のパフォーマンスが低下してしまいます。アルコールを飲んでいる時と同じくらい、脳の機能が下がるとまでも言われているのです。 ある研究者が、睡眠不足がどれほどのコストになっているのかを計算したところ、日本ではGDPの2.9%ほどが、睡眠不足によって失われているのではないかという結果になりました。これは他の国と比べても、かなり大きな数値で、日本人は睡眠不足の人が多いということがわかります。これを改善することで、日本は経済的にも、便益を享受することができると言われています。 朝型と夜型の人の違いとは? 睡眠不足を表す指標の一つに、睡眠負債と言うものがあります。いつ眠くなっていつ起きるのかというのは個人差がありますよね。それをクロノタイプと言うのですが、そのため一概に夜遅くまで起きていることや朝遅くまで寝ていることが良くない、とは言い切ることができません。 朝、学校が始まる時間が早すぎると思ったことがある人もいるのではないでしょうか。日本の学校の始業時間は、クロノタイプが朝型の人に合わせて、作られているのだと思います。イギリスでは、人によってクロノタイプが違うのだから、10時始業のように時間を遅らせたら良いのでは?と考えられ、実際に成績も上がったという成果があります。 大昔の狩猟時代に、朝に活動して夜に眠る人たちを、動物に襲われないように守ってくれていた人がいると思います。そのような人たちが今の夜型になっているのかもしれませんね!代わりに朝型の人たちは朝に活動して、今の夜型の人たちを守っていたのかもしれません。 飛行機に乗らなくても時差ボケしてしまう人とは? このように睡眠には個人差があるため、みんながみんな同じような睡眠リズムを持っているわけではありません。平日は6時に起きるけれど、休日は10時まで寝てしまう、というように、平日と休日で、起きる時間が変わる人もいるのではないでしょうか? このような本来寝ていたい時間との差を、ソーシャルジェットラグと言います。ジェットラグというのは、飛行機に乗って時差ぼけをしてしまうことを指します。そして、ソーシャルのせいで、平日はずっと起きていて、休日だけたくさん寝てしまうことにより、睡眠のリズムが平日と休日で変わってしまい、ラグが生まれるのが、ソーシャルジェットラグです。 日本の睡眠研究で、平日働いた後に、好きなだけ休日に寝てくださいと言うと、平日よりも睡眠時間が数時間ほど長くなる人も多くいるそうです。普通に寝ると、人は8.4時間ほど眠るそうですが、平日は7時間ほどしか寝ない人が多いため、そこの差で睡眠不足が生じてしまいます。 まとめ 私たち日本人は、他の国の人と比べても、睡眠不足の人が多いです。このような睡眠負債を抱えていると、日中のパフォーマンスが下がってしまったり、経済的な負担にも繋がってしまいます。睡眠不足は平日と休日の睡眠時間の差にも現れていて、睡眠不足の解消は、社会的な課題であると言うことができます。 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/4FsfTfp2A0oNGH4jEdlaUl?si=vj_70I7YQGmfyTO74vHXFQ 次回 次回もコラムでは、『睡眠の質を高める意外なヒント』をいくつかご紹介します。 https://mag.viestyle.co.jp/columm23/

メンタル不調を克服するためには?認知の歪みを治せる?

社会人として働くうえで、もしメンタル不調に陥ってしまったら、その後はもう働くことができなくなってしまうのでしょうか? 一度メンタルが弱ってしまうと「一生そのままだ」「働けなくなってしまう」と、思われがちですが、実はそれもスティグマの1つです。 実際は、本人の症状が軽くなれば働くことができ、たとえメンタルの問題を遺伝的に、環境的に抱えてしまっても、社会復帰は可能であるという話を紹介していきたいと思います。 前回のコラムはこちらです。 https://mag.viestyle.co.jp/columm20/ 今のままではメンタル不調の人が職場復帰は難しい? これまでも何度か紹介してきましたが、メンタルに問題を抱えやすい人は、とても優秀な人が多いのです。だからこそ不調になりやすいという面もあるかもしれません。 このような優秀な人材が「病んでしまったら一生終わり」という社会は、働く本人にとっても、優秀な人材を失う会社にとっても、大変もったいない状況です。そこで、医学やテクノロジーが大いに役立つことが期待されます。 現代の医学やテクノロジーは、メンタルヘルスの課題に対する理解と支援を飛躍的に進めています。例えば、早期診断や適切な治療法の提供により、メンタルヘルスの問題を抱える人々が適切なサポートを受けることが可能です。また、テクノロジーを利用したメンタルヘルスのモニタリングやリモートカウンセリングなど、手軽に利用できるサポート手段も増えています。 さらに、職場環境の改善やメンタルヘルスへの理解を深める教育プログラムの導入も重要です。これにより、メンタルヘルスの問題を抱える人々が安心して働ける環境が整い、彼らの能力を最大限に発揮できるようになります。 優秀な人材がメンタルヘルスの問題を克服し、活躍し続けるためには、個々の努力だけでなく、社会全体でのサポート体制の整備が不可欠です。医学やテクノロジーの力を借りて、より多くの人が心身ともに健康で充実した生活を送れるようになることが望まれています。 ネガティブ思考を断ち切る新技術とは? この分野に関して、ニューロテクノロジーが1つの解決手段として注目されており、中でも、ニューロフィードバックを用いた科学的な認知行動療法が提案されてきています。実際に、鬱に対して効果があるというエビデンスもいくつか出てきています。 鬱が深刻な人の特徴として、「反芻思考」というものがあります。これは「私は無能な人間だ」といったネガティブな思考が、本人の意思に反して無限にループしてしまうことです。このような思考は脳の中で自動的に行われるため、本人が止めたくても止められないのです。 皆さんの中にも、落ち込んだ時にネガティブな考えが頭から離れなくなってしまう経験をしたことがある人もいるでしょう。このような反芻思考を止める訓練を、ニューロフィードバックを使って行うことができるようになってきています。 ニューロフィードバックについては、こちらの記事でも紹介しています。 https://mag.viestyle.co.jp/neuro_feedback/ 認知の歪みを矯正してメンタル不調を克服! 他にも、ニューロフィードバックを使って、認知の歪みを治せるのではないかという研究をしたチームがあります。 認知の歪みとは、例えば10人中全員があなたのことを「可愛い」と言ってくれているのに、自分だけは自分のことを可愛いと思えないような現象です。目に映る対象は全員同じはずなのにこのようなことが起きるのは、脳の認知能力に歪みがあるからだと考えられています。 この研究では、被験者に「建物の写真」と「怖い顔をした人の写真」を50%ずつ重ねて見せます。健康な人は建物を見ようと思えばそれが目に入り、人の顔を見ようと思えばそれも見えるように、建物と人の顔の両方を認識できます。しかし、ネガティブモードに入ってしまっている人は、ネガティブな情報しか捉えることができません。 これを矯正するために、被験者が建物を見ているときと人の顔を見ているときの脳活動を学習させると、脳の情報を読み取ることで、被験者が建物と人の顔のどちらに注意を向けているのかを解読できます。被験者が50%ずつの写真を見ているときに、「建物を見ている時の脳活動を起こしてみましょう」と指示されると、ネガティブな情報が頭に入ってきても、それを矯正することで、次第にニュートラルにその写真を見られるようになります。 そのため、50%ずつの写真を見ている時に、「建物を見ている時の脳活動を起こしてみましょう」と言われると、ネガティブな情報が頭には入ってきてしまうのですが、頑張ってそれを矯正して、だんだんニュートラルにその写真を見れるようになってくるのです。 このような技術は、世界の見方や心の特性をニュートラルに矯正する新しい手段として注目されています。例えば、醜形恐怖症や神経性痩症などの患者が自分自身に対する見方をニューロフィードバックで中立的に矯正できれば、本人の負担が軽減されるかもしれません。 また、復職を希望する人々が復職に対して持っている歪んだ考えをトレーニングで矯正することができれば、彼らが再び活躍できる可能性も高まります。こうしたプロジェクトを立ち上げることで、メンタルヘルスの課題を抱える人々に対するサポートがさらに充実することが期待されます。 まとめ メンタル不調を抱えた人が社会復帰できる可能性は十分にあります。メンタルヘルスの問題で「一生働けなくなる」と思ってしまうのは、スティグマの一つです。 優秀な人材がメンタル不調で働けなくなることは、本人にとっても、企業にとっても大きな損失です。しかし、現代の医学やテクノロジー、特にニューロフィードバックを活用した科学的な認知行動療法により、症状の改善や認知の歪みの矯正が可能になっています。 メンタル不調を抱える人々が安心して働ける環境を整え、彼らの能力を最大限に発揮できるようにするためには、社会全体でのサポートが不可欠です。これにより、メンタルヘルスの問題を克服し、再び活躍するための道が開けるでしょう。 🎙ポッドキャスト番組情報 日常生活の素朴な悩みや疑問を脳科学の視点で解明していく番組です。横丁のようにあらゆるジャンルの疑問を取り上げ、脳科学と組み合わせてゆるっと深掘りしていき、お酒のツマミになるような話を聴くことができます。 番組名:ニューロ横丁〜酒のツマミになる脳の話〜 パーソナリティー:茨木 拓也(VIE 株式会社 最高脳科学責任者)/平野 清花 https://open.spotify.com/episode/58Pu4n97RIH0RSET5HqzWQ?si=Zo83bhg6RNiRlrWws5-J2g 次回 次回のコラムでは、『生活の質を高める睡眠』についてご紹介します。 https://mag.viestyle.co.jp/columm22/

ニューロフィードバック入門:脳を最適化する方法

日々のストレスや集中力の低下に悩んでいませんか? そんなあなたに注目してほしいのが、ニューロフィードバックという最新の脳トレーニング技術です。脳波をリアルタイムで測定し、自分の脳の状態を“見える化”することで、脳の自己コントロールを促します。 この画期的な手法は、メンタルヘルスの改善や認知機能の向上に役立つだけでなく、仕事やスポーツのパフォーマンスアップにもつながります。 心と脳のコンディションを整えたい方へ――。自分の脳と向き合う、新しい習慣を始めてみませんか? ニューロフィードバックとは? ニューロフィードバックとは、脳波をリアルタイムで測定し、そのデータを基に脳の活動をコントロールする技術です。 具体的には、脳波計(EEG)を使って脳の活動を測定し、そのデータを視覚や聴覚を通じてフィードバックとして提示します。利用者はそのフィードバックをもとに、自らの脳波を意識的にコントロールする方法を学び、脳の働きをより良い状態へと導くことができます。 この技術は、ADHD、不安症、うつ病、不眠症などの精神的・神経的障害の治療に役立つだけでなく、スポーツ選手や音楽家がパフォーマンスを向上させるためトレーニング方法としても活用されています。 ニューロフィードバックは、薬を使わずに脳の働きを改善できる点で、安全性が高く、副作用も少ないとされています。ただし、効果には個人差があり、全ての人に同じような成果が期待できるわけではありません。 この技術は、脳の健康を保ち、精神的な安定や集中力の向上を目指す方々にとって、新たな選択肢として注目されています。 バイオフィードバックとの違い ニューロフィードバックは、「バイオフィードバック」と呼ばれる技術の一種です。バイオフィードバックとは、心拍や呼吸、体温、筋緊張、皮膚電気反応など、身体の生理的な反応をリアルタイムに計測・可視化し、それをもとに自分の身体状態をコントロールする方法を指します。 その中でもニューロフィードバックは、脳波や脳血流といった脳の神経活動に特化したもので、より直接的に「脳の働き」にアプローチするのが特徴です。 つまり、バイオフィードバックが「身体全体の状態調整」を目的とするのに対し、ニューロフィードバックは「脳の最適化」に特化したアプローチだといえます。 ニューロフィードバックの進め方 ニューロフィードバックは、専門家の指導のもとで段階的に実施されます。以下は、一般的なトレーニングの流れです。 脳の状態を測定する まずは脳波やQEEG(定量的脳波検査)などを用いて、現在の脳の活動状態を可視化します。これにより、どのような脳波パターンに課題があるのかを把握します。 トレーニングの目標を設定する 測定結果をもとに、改善すべき脳波の特徴や目標状態を明確にします。たとえば、「集中力を高める」「リラックスしやすい状態を作る」など、個々の課題に応じて計画を立てます。 トレーニングを実施する 視覚や聴覚を通じてリアルタイムのフィードバックを受けながら、脳の状態をコントロールする練習を行います。たとえば、画面上の映像がリラックス状態になるとスムーズに進む、といった仕組みで学習します。 効果の確認と調整 一定期間のトレーニング後、再度測定を行い、変化の有無を確認します。必要に応じてプランを調整しながら、継続的に効果を高めていきます。 このように、ニューロフィードバックは一人ひとりの脳の状態に合わせて個別に設計・実施されるため、高い柔軟性と適応性を持ったトレーニング手法といえます。 ニューロフィードバックの応用 ニューロフィードバックは、脳の自己調整能力を引き出すことで、様々な分野で効果を発揮できます。脳波のリアルタイムデータを用いて脳の働きを最適化するこの技術は、メンタルヘルスからパフォーマンス向上まで、幅広い応用が可能です。ここでは、具体的な応用例をいくつか紹介します。 メンタルヘルス 不安やうつ病、PTSDなどのメンタルヘルスの問題に対して、ニューロフィードバックは、脳波のバランスを調整することで、ストレスを和らげ、感情を安定させるサポートを行います。 例えば、過度に興奮した脳波をリラックスさせることで、不安を軽減したり、抑うつ状態からの回復を促進したりします。薬物治療に代わる自然なアプローチとして、副作用が少なく、長期的な効果が期待されている点も大きな魅力です。 認知機能向上 記憶力や集中力を高めるために、ニューロフィードバックは脳の働きを効率的に整えるサポートをします。特に高齢者や脳にダメージを受けた人々に対して、脳波を訓練することで、衰えた記憶力を補強したり、注意力を改善したりすることが可能です。 たとえば、日常生活で忘れがちな細かなことを思い出しやすくなったり、複数のタスクに集中できるようになったりする効果が期待されます。 発達障害の治療 ADHDやASDといった発達障害に対しても、ニューロフィードバックは効果的です。 たとえば、ADHDの人々にとっては集中力を向上させることや、衝動的な行動を抑えることができるようになります。ASDの方には、感情のコントロールを支援し、コミュニケーション能力の改善に役立ちます。さらに、薬物療法と併用することで、より持続的で副作用の少ない治療を実現することができます。 スポーツやパフォーマンスの向上 プロのアスリートや音楽家、ビジネスリーダーにとって、ニューロフィードバックは、競技や演奏、ビジネスの場で最大限のパフォーマンスを発揮するための重要なトレーニング手法です。 脳波をトレーニングすることで、集中力を高めるだけでなく、リラックスした状態を保つことで、緊張感をコントロールし、プレッシャーのかかる状況でも冷静に行動できるようになります。 このように、ニューロフィードバックはメンタルヘルスから認知機能向上、発達障害の治療、さらにはスポーツやパフォーマンス向上といった幅広い分野で活用されています。今後もその応用範囲はさらに拡大し、多くの人々の生活の質を向上させることが期待されています。 ニューロフィードバックの活用事例(VIE) VIE株式会社は、イヤホン型脳波計「VIE Zone」を通じて、ニューロフィードバック技術の実用化を推進しています。このデバイスは、手軽に脳波を測定できる点で画期的であり、さまざまな場面での脳波トレーニングを可能にしています。 以下では、VIEによるニューロフィードバックの具体的な活用事例をご紹介します。 マインドフルネスへの応用(VIE×POLA) ポーラ化成工業株式会社と共同で、化粧品を使用した際の心理状態、特にマインドフルネス状態を脳波から正確に推定するアルゴリズムを開発しました。 この技術により、従来の質問票やヒアリングに頼らず、脳波データを活用して化粧品が使用者に与える心理的な影響をリアルタイムで分析することが可能になりました。これにより、製品の感性価値を高め、より効果的な製品開発に活用されています。 視力改善への応用(VIE) イヤホン型脳波計を用いたニューロフィードバックを利用して、短期間で視力を改善することに成功しました。この研究では、近視の被験者に対して2週間のトレーニングを実施し、脳波を調整しながら視覚学習を行いました。 特にα波を強化することで、視力の向上が持続することが確認されました。この方法は、家庭でも視力訓練に応用できる可能性があり、視力回復の新たなアプローチとして期待されています。 スポーツへの応用(VIE×イブキ) イブキと共同で、緊張状態におけるゴルフパフォーマンスの低下「チョーキング現象」を予防するために、ニューロフィードバック技術を活用した新しいトレーニング技術の開発を行いました。 この技術は、緊張やプレッシャーによるパフォーマンス低下の問題に対処するため、脳波をリアルタイムでフィードバックし、心身のパフォーマンス向上をサポートするものです。ゴルフだけでなく、他のスポーツやプレゼンテーションなど、緊張が影響するシーンでも応用が期待されています。 eスポーツへの応用(VIE×KDDI) KDDIと共同で実証実験をおこない、eモータースポーツの選手がブレインテックを活用したトレーニングでドライビングテクニックを向上させました。 この研究では、脳波データを利用して脳の反応速度や認知能力をトレーニングし、シミュレーターでのラップタイムを改善しました。この技術は、プロレーサーを目指すeスポーツ選手にとって有望な手法として注目されています。 ビジネスにおけるブレインテックの活用事例10選 ブレインテックがビジネスでどのように活用されているのかを示す、10の企業事例をまとめた資料をご用意しました。無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。 資料をダウンロードはこちら ニューロフィードバックの展開 この記事では、ニューロフィードバック技術について、その基本的な概念と多岐にわたる応用例を紹介しました。ニューロフィードバックは、脳波をリアルタイムで測定し、フィードバックを通じて脳の自己調整を促す技術であり、メンタルヘルスの改善や認知機能の向上、発達障害の治療に役立つだけでなく、スポーツやパフォーマンス向上の分野でも活用されています。 さらに、イヤホン型脳波計「VIE Zone」を使った具体的な事例として、マインドフルネスへの応用、視力改善、スポーツ、eスポーツにおける活用方法について詳しく解説しました。これらの事例は、ニューロフィードバックがいかに多様な場面で有効であるかを示しており、今後もさらなる発展が期待されます。 ニューロフィードバックは、現代社会のさまざまなニーズに応えるための新たな手段として、多くの分野で活躍しており、その技術は私たちの生活の質を向上させる可能性を秘めています。

1 2 3 4

Ready to work together?

CONTACT

ニューロテクノロジーで新たな可能性を
一緒に探求しませんか?

ウェアラブル脳波計測デバイスや、
ニューロミュージックに関心をお持ちの方、
そして共同研究や事業提携にご興味のある
企業様、研究機関様からの
お問い合わせをお待ちしております。