恋心は脳が生み出す幻想だった?/好きな人と関係性を持続させる方法とは?

コラム
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人を好きになるという気持ちは、脳の「書き込み」技術によって簡単に操作できてしまうと言われています。

それを利用して好きな人との関係性を持続させることができたり、告白を高確率で成功させることができたり?恋愛とニューロテクノロジーの掛け合わせは、より良い人間関係を築くヒントになるかもしれません。

今回は脳科学の観点から、『好きな人と関係性を持続させる方法』についてご紹介します。

前回のコラムはこちらです。

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人を好きになるのは脳の幻想!?恋愛に応用できるニューロフィードバック

ニューロテクノロジーとは、お酒とニューロテクノロジー で紹介したように、脳の情報を「読み取る」ことや、脳に情報を「書き込む」技術のことです。

そして、人を好きになるというのは脳の幻想でもあり、それを証明する次のような実験があります。

Aさんに100人の男性の写真を見せ、10点満点で点数をつけてもらいます。そして好きでも嫌いでもない、中間の5点をつけた男性の後に、緑色の丸い図形の画像を見せます。そこでAさんは「この丸の図形を大きくしてください」と言われます。Aさんには知らせていませんが、実はこの丸い図形は、Aさんが好印象を持った男性を見た時の脳活動が現れると、大きくなる仕組みになっています。

そして、Aさんは5点の男性の写真を見た後に、いろいろなことを考えながら、工夫して丸を大きくする努力をし続けていくと、最初は5点の評価を下した男性に対して、より高い評価をするようになっていきます。

つまり、「書き込み」の技術=ニューロフィードバックにより、人を好きになる気持ちはコントロールできてしまうのです。

そのような観点で言えば、相手の趣味の話などを一緒にすることは、相手が「好き」と感じているフィールドに自分も立つことであり、相手に好印象を持たれやすいのかもしれません。

これをそのまま事業化すると倫理的な問題にも繋がってしまいますが、例えば「幸せ」を感じにくくなってしまった熟年夫婦が、ニューロフィードバックでトレーニングをすることで、出会った頃のような夫婦仲を取り戻す、というようなことが可能になるかもしれませんね。

告白を高確率で成功させるには?感謝の仕方一つで相手に好まれる?

勇気を出して告白をするのであれば、必ず成功させたいものですよね。「確実に告白を成功させる」というような脳科学の研究はまだ進んでいませんが、「お互いを好きになる」というところにヒントはあるかもしれません。

実は感謝をし合う人たちは、お互いを好きになりやすかったり、恋愛が持続しやすかったりすると言われています。そして、感謝の仕方にも気をつけられることがあります。

例えば、プレゼントをもらったときに、「私のためにこんなに高いものをありがとう」「時間をかけて選んでくれてありがとう」というような、コストに対する感謝を述べるのではなく、自分のニーズに応えるプレゼントをしてくれた「応答性」に感謝を述べることが効果的だと言われています。

「これ超欲しかったやつなの!ありがとう!」「ちょうどなくて困っていたんだよね、ありがとう!」というような「応答性」を確認し合えると、お互いを好きになりやすくなる傾向があります。

そのため、相手にプレゼントを贈るときは、相手のニーズをリサーチすることや、反対にプレゼントを受け取るときには、自分のニーズにあっていることを感謝することが効果的であると言えます。

カップルで長く付き合いを続けるために効果的なことは?

付き合う前からも大事なことですが、付き合ってからは、より相手の立場に立つことや、第三者的な視点に立つことは大切です。人間にとって「相手がどういう世界を持っているのか」という考えを持つことは難しく、どうしてもセルフィッシュになりがちです。相手の立場を考えるスキルを持つことはとても重要なことなのです。

カップルの関係性に関して、こんな実験があります。カップルが喧嘩をしたときに、「その喧嘩を第三者が見ると、どのように思うだろうか」「その喧嘩を自分が第三者的な視点で見ようとしたときに、何(感情など)がそれを妨げているか」を考えるトレーニングをしてもらいます。

この実験では、2人の関係性の中で第三者的な視点を持つことを意識すると、カップル同士の関係性がよくなるという結果が出ています。第三者的な視点を持つことは、人間関係の形成に良い結果をもたらすのです

しかし、第三者の視点に立つということは、容易なことではありません。そこで、最近ではニューロフィードバックの力を使って、第三者の視点に立つ訓練ができるようにもなっています。

私たちの会社 VIE では、このように「物の見方を変える」トレーニングを行うことによって、人間関係や社会生活がよくなるような事業を行うことができたら面白いと思っています。

※出典:Finkel et al., 2013: Taking a third party perspective when dealing with marital conflicts improved marital satisfaction among couples over a year (wiseinterventions.org), 2024年7月5日参照

まとめ

恋心は脳の生み出す幻想にすぎないため、ニューロフィードバックで変えることができてしまいます。また、恋愛の形成や維持のためには、相手に感謝をすることや、相手の立場になり、思いやりの心を持つこと、第三者的な視点を持つことが大切です。そのようなトレーニングには、ニューロフィードバックが効果的かもしれません。

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