「痩せられる人」と「痩せられない人」の脳の違い/ダイエットとニューロテクノロジーの話

コラム
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これまで、悪い習慣を良い習慣に変えていくことや、周りの人と協力して取り組みを継続させていくことなど、さまざまなダイエットの効果的な方法をご紹介してきました。

しかしそれでも、長期的なダイエットは容易に達成できるものではありません。そこで今回はニューロテクノロジーを使った、ダイエットに効果があるとされている最新技術をご紹介します。

前回のコラムはこちらです。

痩せられる人と痩せられない人には脳活動の違いがあった!

そもそもダイエットに関わる脳の情報処理を理解しないと、話は進められません。アメリカのカリフォルニア州にあるカルテックのグループが、衝撃的な事実を雑誌サイエンスに掲載しました。

彼らはアメリカでダイエット中の、ビッグサイズな人たちを集めてきて、fMRIという脳のスキャナーに被験者を入れました。そこでサラダやスニッカーズなど、低カロリーなものから高カロリーなものまで、食べ物の写真を被験者に見せたところ、「痩せられる人」と「痩せられない人」には脳の違いがあるという事実がわかりました。

私たちの脳には、「目的思考」と「習慣思考」というものがあります。ダイエットには「目的思考」が必要です。「習慣思考」は「カロリーを取れ!スニッカーズを食べろ!」と誘惑してくるのですが、「痩せるためにはサラダを食べないといけないんだ」というように、目的と照らし合わせた思考にしていかなければならないのです。

そこで重要になるのは、dlPFC(Dorsolateral prefrontal cortex=背外側前頭前野)と呼ばれる脳の部位です。痩せられる人たちの脳は、報酬を期待する脳の部位VMPFC(ventro-medial prefrontal cortex=腹内側前頭前皮質)で起こる活動を、dlPFCが止めてくれます。

つまり、頭の中にブレーキのような働きをする脳の部位(dlPFC)があり、「美味しそう!食べたい!!」と思ったときに、そのブレーキが作動する人と作動しない人に分かれるようです。

ダイエットにおいて「過食はやめよう」「カロリー制限をしよう」というように、「目的思考」に脳を変えるためには、dlPFCの活動が必要になる、ということが解明されたのでした。

ニューロフィードバックを使って痩せられる脳を手に入れる!

ここまでで、痩せられる脳の仕組みがわかったと思います。では、そのような仕組みを脳に書き込み、自然にこの作用を起こさせることができたらすごいと思いませんか?

1つの方法としては、dlPFCの脳活動を上げる訓練をおこなうことが考えられます。例えば、fMRIに入って「あなたのdlPFCの活動はこういう状態だから、もっと上げなさい」と指示し、美味しそうなドーナツの写真を見ながら訓練をすると、なんとドーナツが食べたくなくなってしまう、という状態にすることが可能です。

また「モチベーショナルニューロフィードバック」という方法もあります。例えば、ハンバーガーの写真を見ながら、dlPFCの活動をうまく起こすことができたら、そのハンバーガーの写真がどんどん遠ざかっていく、というものです。これにより、ハンバーガーを見てもハンバーガーに対する食欲を抑える、ということが学習しやすくなっていき、それによってダイエットが成功していくということがわかっています。

さらに、dlPFCに直接微量の電流を40分ほど流し続けると、ブレーキが作動するという方法もあります。ハイカロリーなものを食べたくなってしまうという脳の情報処理を、ニューロフィードバックで修正することで、逆にサラダや豆腐などを食べたくなるようにしてあげることが可能になります。

訓練をしたり、外部から刺激を与えることによって、食行動が変わり、痩せられるようになる、というのは夢のような話ですよね。カロリーが低くて健康的な食事で、より満足できる脳に変えられることができたら、ダイエットも継続しやすくなるのではないでしょうか。

まとめ

ハイカロリーな食品を選ぶか、ローカロリーな食品を選ぶかという食選択は、脳の情報処理によるものです。そのため、ニューロフィードバックを利用することで、健康的な選択を促進できる可能性があります。

私たちの会社VIE でも、ニューロフィードバックを中心とした技術を取り扱っているので、将来的にはダイエットに関連した製品も提供できたらと考えています。

ニューロフィードバックについては、こちらの記事でも紹介しています。

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